キャリア

あの投資家はどうやって大金持ちになったのか 歴史的に振り返る (3/3ページ)

 投資の神様、ウォーレン・バフェットの場合

 次にウォーレン・バフェット。この人は「オマハの賢人」と讃えられる、現代アメリカの“投資の神様”です。世界最大の投資会社「バークシャー・ハサウェイ」のCEOで、世界長者番付では、過去3回1位になっています。

 彼の名言は、こういうものです。「買うのは企業であって、株ではない」「株価は長期的には、業績に連動する」「リスクは、あなたが何をやっているか理解できない時に起こる」「並の企業を安く買うよりも、優良企業を適正価格で買うべし」といった名言は、彼の投資スタイルからきています。彼が好む投資スタイルは「バリュー投資」、すなわち将来性があり、企業価値に比べて割安な株を買って長く運用するというもので、経済学者ケインズの晩年の手法と同じです。バフェット自身も言っていますが、彼はケインズの手法や考えをかなり手本にしています。

 予測不能なアニマルスピリットに注意

 最後はそのケインズ。ケインズは「世界一有名な経済学者&投資家」で、著書では市場の不安定性を批判しているのに、実世界ではその不安定性につけ込んだ投資に熱中するなど言っていることとやっていることの差が面白い人です。

 彼の投資スタイルは、若い頃は短期的な投機が中心でしたが、晩年は長期的な成長企業の配当利回り狙いへとシフトします。これは彼が投機に失敗し、2度も破産の危機を迎えて、命からがら脱した実体験があるせいです。

 ケインズの名言は「アニマルスピリット(群集心理による気まぐれな集団行動)」「投資は長期にわたる見込み収益の予測。投機は市場の心理の予測」「美人投票の論理(市場心理の読み方。美人投票の優勝者を当てるには、自分の好みではなく、審査員の平均的な好みを予測して当てるのがコツ)」などです。特にアニマルスピリットは要注意です。そのキモとなるのは“自信”。すなわち、市場が根拠のない自信に基づく楽観論に支配されたらバブルが生まれ、投資家が集団で自信を失ったらバブルは弾けるのです。

 (代々木ゼミナール公民科講師 蔭山 克秀 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus