お倉、貞奴……。日本の女性投資家たち
日本にも、伝説の女性投資家がいます。まず「富貴楼のお倉(ふうきろうのおくら)」です。江戸末期の遊女だったお倉は、明治4年にパトロンの資金提供を受け、横浜に料亭「富貴楼」を開きます。彼女は持ち前の明るい人柄で人気者になり、いつしか料亭は伊藤博文や大久保利通らが通う「政界情報交換所」のようになりました。そしてお倉は、そこで得た情報をもとに株を買い、巨額の利益を得たそうです。
そして女優「川上貞奴(さだやっこ)」です。彼女は伊藤博文や西園寺公望らからひいきにされた芸妓でしたが、日本新劇の祖・川上音二郎と結婚して川上姓になります。彼女は音二郎死後、経済的に困窮しますが、そんな彼女を助けてくれたのが、かつての恋人で福沢諭吉の娘婿・福沢桃介でした。株式投資で巨万の富を得ていた桃介と貞奴は不倫関係になりますが、やがて桃介が死に、貞奴がその株を受け継いで投資を続けたことで、彼女は日本で最も稼ぐ投資家となったのです。
知識を武器に自分に相応しい手法を貫け!
男性投資家は名言をはさんで見ていきましょう。まずはジェシー・リバモア。この人は「ウォール街のグレートベア」の異名を持つ天才相場師でした。若くして相場の才能を開花させた彼は、世界恐慌時には空売りで大勝利し、1億ドル(約4000億円)を稼いだと言われています。ただし、その人生は浮き沈みの激しいもので、3度の破産を経験した後、4度目にピストル自殺を遂げています。
彼は、知識を重視する名言を数多く残しています。「知識は大きな力だ。愚かで安易な考えで相場に手を出せば、すべてを失ってしまう」「無知を警戒せよ」「人間の知性を邪魔するのは常に、人間の情報であり情動である」……。また知識以外にも「自分の性格に合った無理のない手法を考案し、そのルールに従うこと」「相場に勝つ必要はない。勝つべき相手は自分自身である」といった名言も。