大西部長は「神戸ブランデーは海外では売れる」と直感し、海外での販売を中心にすることに方針転換。29年8月にボトルやラベルのデザインを高級感のあるものに一新した第2弾「グランド神戸」(750ミリリットル税別1万5千円)を千本限定で中国本土やマカオで販売し、すぐに完売した。
30年9月には第3弾「シュープリーム神戸」(同1万2800円)を1万本製造。海外販売のみの予定だったが、海外での評判が国内に広まったことで一部国内向けにも販売した。シュープリーム神戸は第1弾の福与香と異なり国内でも好調で、国内外で計約5千本売れた。今夏以降に半分の5千本を販売する予定だが、中国や台湾のほか、新たに米国でも売り出す。
現在は海外から「早く次のブランデーを蒸留してくれ」という要望が相次ぎ、公社は今年3月に11年ぶりにブランデーの再生産を始めた。新しいブランデーは現在、オーク樽に貯蔵して熟成中で、3年後の商品化を目指している。
ワインにも追い風
「忘れられていたブランデー」が想定外の評価を受ける一方、ワイン事業にも追い風が吹き始めている。
昨年10月からワインのラベル表示が厳格化され、国産ブドウのみを使用した国内製造ワインに限り、ラベルに「日本ワイン」と表示できる新ルールが始まった。昭和59年から神戸産ブドウのみで造られる神戸ワインは、他のワインと明確に差別化され改めて注目を集めている。