社会・その他

海外で火がつき大逆転 「お荷物」だった神戸ブランデー (2/4ページ)

 公社は大量のワイン在庫を抱え、赤字経営に陥り製造方針を見直した。生産本数を絞り、フランスの醸造士の国家資格を持つ社員を筆頭に高品質なワイン造りを追求した。地道な努力が奏功し、経営は持ち直したが、今度は熟成庫に保管されていたブランデーが問題となった。

 忘れられたブランデー

 神戸ワイナリーが経営健全化に取り組むなかで、ブランデーは、「お荷物」の存在だった。ブランデー造りに携わった社員の多くが退職し、商品価値も不明。ワイン事業部が神戸ワインに続く「神戸ブランデー」としてブランド化することを決めたが、大西部長は「とりあえず売らないともったいないという気持ちで、当初は在庫処理のつもりだった」と打ち明ける。

 27年3月に神戸ブランデーの第1弾「福与香(ふくよか)」(500ミリリットル税別3300円)を約8千本製造。神戸市内の百貨店などで販売したが、売れ行きは芳しくなかった。

 ターニングポイントになったのは、なんとか売り切ろうと出品した28年のマカオの展示会。現地のバイヤーに「このブランデーが3千円程度なのはおかしい。現地の酒の価格が崩壊する」と指摘された。

 実は神戸ブランデー、ナッツやベリー系の香りと美しい琥珀(こはく)色を定着させるフランスのリムーザン・オーク樽で長期熟成させている。さらに、一般的なブランデーと異なり、あえて樽熟成の際に発生するタンニン分を残して瓶詰めしており、独特の渋さがプラスされ、味に深みがあるのが特徴だ。

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