ビジネストラブル撃退道

どう伝えればいい? デリケートだけど切実なビジネスの「スメハラ問題」 (4/4ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 こうした時、もっとも話を切り出しやすいのは、たまたま何も事情を知らぬ別部署の人間や来客が天真爛漫に「なんかこの辺、臭くありませんか?」とつぶやいたりしたときである。もしもそんなことがあり、Aさんが少しでも反応をした場合は伝える良い機会となる。

 「Aさん、あなたの仕事ぶりには何も問題がないのだが、最近外部の人からAさんのニオイを何とかしてくれ、と言われてしまった。申し訳ない! 先ほどつぶやいた人も悪気はなかったと思うのだが、改善をしなくてはいけないのだと私も思っている。大変失礼なことを言ってすまないが、ひとつどうだろう、お風呂に毎日入ったり、頻繁に洗濯をしてもらえないだろうか…」

 こう丁寧に、そして申し訳なさそうに、しかし仕事能力は高い、といったことを伝える必要があるだろう。Aさんになるべく恥をかかせないためにも、Aさんとの会話が周囲に聞こえないようにも配慮したい。正直この問題には明確な正解はない。「山田さん」になった場合は、誰もが傷つかないよう最大限の配慮をしつつ、なんとか問題を解決したいところである。なお、【3】のケースで天真爛漫にニオイを指摘した闖入者は、その部署にとっては「救い神」のようなケースになるものである。

 なお、このAさん的な人物と同僚だった人物(エラい立場ではない)によると、「Aさんがいるであろう日中は外回りを積極的にする」「マスクをする」「やたらと窓を開ける」といった行動をし、少しでも気付いてもらいたいと考えたようだが、結局Aさん的な人は気付かず転職したのだという。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。


【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。

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