ビジネストラブル撃退道

どう伝えればいい? デリケートだけど切実なビジネスの「スメハラ問題」 (3/4ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 1カ月のうち、わずか2~3日だけの話なので我慢すればいいかと思うかもしれないが、【1】の「その1回こっきり」とは異なり、その日は毎月やってくる。しかも、Aさんが来る日というのは、まさに根性を入れてチーム作業で頑張る作業日のため別の場所に行くことはできない。そんな大事な日であるにもかかわらず、Aさんのニオイを嗅ぐ日でもあるため、数日前から憂鬱になってしまう。

 かといって、Aさんはあくまでも外部の人のため、「臭いですよ」とは言うことはできない。「上司の誰か、伝えてくれ~」と心の中で思うが、実はこれが最適解なのである。もしも、Aさんが会社に所属をしているのであれば、受け入れる側の責任者から相手の責任者にこう伝えてもらうしかない。

 「たいへん言いにくいことなのですが、おたくのAさんのニオイのことで、ウチの人間が困っておりまして…。あのぉ、難しいかとは思いますが、なんとかAさんにそこのところを改善するようお伝えいただけませんでしょうか」

 さすがに外部の人間に迷惑をかけていると考えた先方の責任者はなんとか伝えることだろうとの期待は持てる。そこはもう任せるしかない。同じ社内の人間であった場合は、とにかく上司に伝えるしかない。その時はAさんにも申し訳ないし、Aさんにイヤなことを伝えなくてはいけないあなた(上司)にも申し訳ない、という苦悶の表情を浮かべ、意思を伝えるしかない。

 さて、最も難しいのが【3】のケースである。同じ部署にAさんのような人間がいた場合はどうするか。この場合は、上記【2】のケースで「たいへん言いにくいのですが、おたくのAさん…」と切り出された「先方の責任者」が取るべき対応となる。以下、実際にあった話なのだが、この「先方の責任者」を「山田さん」と呼ぶことにする。AさんはAさんのままだ。

 山田さんは「そんなこと言われてもどうAに言えばいいんだよ…」と頭を悩ませる。実は山田さんもAさんのことは気付いていたし、他の部下も知っていた。だが、「Aを傷つけるかな…」と思い、これまで問題の先送りをしてきた。

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