■日本ローカル発の個性が海外デビューの愉快
何にせよ、子供の頃にはその地味さ加減で目が行かず、正直理解し難かった部分がある製品だったのですが、大人になるにつれ不思議とその価値観に自分が追い付いてきたような不思議な感触があります。
メーカーが井村屋さんというのもアイス製品としてはユニークで、三重県津市に本拠、肉まん、あんまんが有名です。中部地方には多くの老舗食品企業が存在しますが、歴史的に文化や産業の往来が盛んだった地として、やはり意図せず歴史的食文化の文脈や風土が商品企画にあらわれるのでしょうか。そんなある意味我が道を行く製品のポジショニングが、結果他社と競合しにくく一定のファンがいる存在として、どんな時代でも棚をコンスタントに維持する力になったのではないでしょうか。
なんと、そんな「あずきバー」、マレーシアで始めての海外現地生産販売が開始されるとのこと。ハラール認証もとっての本格参入をするそうですので、暑さが厳しいマレーシアの人たちにもきっと喜んでもらえるに違いありません。やはり、自然体でにじんでしまう独自性こそ本当の個性。「あずきバー」を世界の人が食べる未来はなんとなく愉快に思えてなりません。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら