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ロングセラーの秘密は異彩を放つ「和」の個性 「あずきバー」

秋月涼佑
秋月涼佑

 それにしても、このアイス・氷菓子のカテゴリー各社の営々たる企業努力で安定的に売上を伸ばし5000億円という小さくない市場を構築しているとは、今さらながら数字を見ると驚かされます。(一般社団法人日本アイスクリーム協会 )

■フルーツカラー、原色の中で異彩を放つ「あずきバー」

 さて、そんな見ているだけで楽しいアイスクリーム冷蔵ケースのメンバー達の中でも、いつも気になるのが一見地味にも見える「あずきバー」なのです。もちろん逐次のマイナーチェンジが施されてはいますが、このパッケージを多くの人が、子供時代からアイスケースで見てきたはず。さもありなん1973年以来、実に発売50年近くになる製品ということです。

 アイス界には「雪見だいふく」など、日本的要素を取り入れた製品はままありますが、あずきという和菓子を代表する材料をストレートに表現したポジショニングはずばり「和」。カラースキームもあずき自然の色味を感じさせる、淡い"あずき色"です。フルーツカラーの原色が入り乱れるアイスケースで逆に斬新さを感じるのです。

 そもそも、もはや、和菓子を日常的に食べる時代でもないにも関わらず、「あずきバー」の売上は常に上位を争うと言われています。(カロミル食生活実態調査 )

 食べてみれば、誰もが衝撃を感じる尋常ではない硬さ。何でも、サファイアを超える硬度があるという都市伝説もあるくらいです。その硬さも、本物のあずきをまんべんなく固めるために必要な製法上由来の硬さらしいのですが、結果およそ似たもののない食経験を身近に提供してくれています。

 味わいは、やはり和菓子的。穏やかな甘さと風味は洋菓子インスパイア系の他アイス群と趣を異にしていますが、間違いなく癒される味と言えましょう。

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