年末年始のテレビ特番では、昨年ラグビーワールドカップベストエイトの快挙をなしとげたラグビー日本代表の選手達がまさに引っ張りだこで、テレビでも大活躍をしていました。一昔前ならば、チャラチャラしてるんじゃないとか、ケガでもしたらどうするなど、周囲がやかましかったに違いありませんが、選手たちの自由意志が尊重される風潮は歓迎しても良いのではないでしょうか。また実務面では近年格段に充実したスポーツマーケティングに関わる黒子たちの活動も選手の出演機会マッチングに大いに貢献したと思われます。
選手たちがテレビ番組出演を快諾するモチベーションとしては、自分たちの競技に少しでも多くの人が興味を持つきっかけを作りたいという意識が強いと思います。特に、マイナースポーツ扱いを受けてきたラグビー選手にはそんな気持ちを感じました。そして、芸人さんやタレントさんに会ってみたい、共演してみたいというミーハーマインドも少々。普段はストイックに自分を追い込んでいるアスリートたちが束の間無邪気に楽しそうにしている姿を見るのは、我々スポーツファンとしてもうれしい限りですし、選手たちもまた新たなシーズンに向けてリフレッシュしたに違いありません。
スーツのカッコ良さを再認識
そんなラグビー日本代表メンバーのオフシーズンでしたが、特に注目が高かったイベントが昨年12月11日に丸の内仲通りで行われた、凱旋パレードでした。ワールドカップで大活躍したメンバー達が結集し、多くのメディアと約5万人の群衆に囲まれたのでした。
インパクト抜群だったのが、彼らのスーツ姿。黒のスーツ、モノトーン、ストイックなスタイルは、普段の肉弾感もあらわなユニフォーム姿とのギャップが大きい分、女子ならずとも胸キュンだったのではないでしょうか。やはり鍛え抜かれた肉体だからこそ映えるスーツのカッコ良さは文句のないものでした。それが一団となってパレードするわけですから、丸の内のビジネス街が騒然としたのも当然です。
調べてみると、あの「洋服の青山」が日本代表公式スーツとして提供したものだそうです。黒一色に見える生地はシャドーチェックで、衿裏のカラークロスには日本代表エンブレムである『桜』モチーフを散りばめたオシャレなものとのこと。レプリカモデルを我々も購入することが可能です。もちろん、選手たちはあの体ですから、既成のサイズ感では着ることもままならないでしょう。それぞれに仕立てられたものに違いありません。
それにしても我々にも非常に身近な存在である「洋服の青山」がオフィシャルサポーターの1社、スーツサプライヤーとしてハレの場の衣装を提供していたことは結構意外でした。
公式スーツは高級ブランドだけのものではない
というのが、例えば、サッカー日本代表チームに長年スーツを提供しているのはダンヒルです。英国発祥の世界的な高級ブランド。他に海外でもヒューゴボスやアルマーニなどが各国サッカー代表チームへの公式スーツ提供事例が多い印象ですので、率直に言って今までは高級品セグメントの施策という印象が強かったのです。でも考えてみれば、幅広いターゲット層の注目を集めるスポーツチームへのスーツ提供だからこそ、普及価格帯からレンジの広い製品をもつ「洋服の青山」のような量販店業態と実は相性が良い施策なのだと認識をあらためさせられました。