元受付嬢CEOの視線

受付嬢はここが辛い 陰口を叩かれ、這いつくばってでも出社

橋本真里子
橋本真里子

ランチもゆっくりできず ◯◯に縛られる受付嬢

 受付嬢が縛られるのはズバリ「時間」です。これまで辛かったことを2つ挙げてきましたが、実はこれが一番辛かったことかもしれません。

 受付嬢はとにかく時間に縛られています。受付の営業開始時間が「9時」と決まっていれば、9時を1分過ぎてもいけません。また、来客はたいてい、1時間のうち「00分」と「30分」という2回のピークを迎えます。そうすると、必然的にお昼休みを1時間取ることも難しくなるのです。

 00分の来客のピークが落ち着いた頃にお昼休みに入り、次の00分のピークが来るまでに受付に戻ります。もしかすると、これが理由で「受付嬢はお昼ご飯を食べない」というイメージを持たれているのかもしれません。OLの楽しみのひとつと言われる「楽しくて美味しいランチ」に受付嬢はありつくことができません。よって、誰かと一緒に食べに行くことも難しく、受付嬢のランチは地味になりがちなのです。

 また、「受付にいること自体が業務のひとつ」とされるので、来客が来ようが来まいが受付にいなければなりません。「ちょっと病院に行きたいから抜ける」や来客が列をなしている時間帯はトイレにもいけません。

 今はシフト勤務でなくなり、仕事とプライベートの時間の区切りはなかなか取れませんが、自分で時間をコントロールすることはできるようになりました。受付嬢時代はシフト勤務が当たり前の働き方だったので、当時はさほどストレスを感じていなかったように思いましたが、振り返ってみると結構辛かったな(笑)と思ってしまいます。

 今回は受付嬢時代に辛かったことを3つに絞ってお話しさせていただきました。どんな仕事にも辛いことはつきものです。しかし、その辛いことをどう解釈し、自分で解決・消化して行くかが重要だと思います。

 そして、辛いことよりも圧倒的な楽しさや、自分の仕事に持てる誇りが増えれば、辛いことはさほど気にならないものです。辛いことを減らす努力も大切ですが、それが難しい場合は「楽しい」「誇らしい」と感じるシーンを増やすのも解消法のひとつではないでしょうか。

橋本真里子(はしもと・まりこ)
橋本真里子(はしもと・まりこ) ディライテッド株式会社代表取締役CEO
1981年生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。長年の受付業務経験を生かしながら、受付の効率化を目指し、16年にディライテッドを設立。17年に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。

【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週木曜日。アーカイブはこちら

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