元受付嬢CEOの視線

受付嬢はここが辛い 陰口を叩かれ、這いつくばってでも出社

橋本真里子
橋本真里子

 私はとにかく直接言われないことに関しては耳に入れないようにし、自分の仕事を全うすることが一番の解決策だと思いました。そしてそれまで以上に自分の仕事にプロ意識と誇りを持つように心がけました。

這いつくばって出社 受付嬢はカウンターを死守

 受付という場所は、ご来客の方々を最初に迎える場所です。ですから、離席することは許されません。会社の営業時間よりも早く出勤し、身支度と受付周りを整え、完璧な状態で迎えなければなりません。そんな受付の仕事をする中で2つ印象的な出来事がありました。

 1つ目は、後輩の受付嬢が急性胃腸炎(今でいうとノロウィルスのような症状)にかかっているのに、這いつくばるようにして出勤してきたことです。受付嬢はシフト制です。早番・中番・遅番といったポジションをシフト制で回しているのですが、中番と遅番はどうしても体調が悪ければ、会社に連絡をし、遅刻やお休みすることができます。しかし、早番というのは代わりがいません。早番が会社に行かなければ、会社の受付はオープンできないのです。

その当日、私は中番でしたが、早番で出勤していた彼女の姿を見て「連絡くれれば、もっと早く出勤したのに…! 今すぐ早退して休息をとって!」と伝えました。いわゆる「瀕死」に近い状態でした(笑) 彼女は体調が悪すぎてそこまで頭が回らず、何としてでも受付をオープンしなければいけないという使命感でいっぱいだったようです。

 もう1つは、東日本大震災の日の出来事です。私は当時、ビルの17階にある受付にいました。あの震災では、私も経験をしたことがないほどの揺れを感じました。「ビルが折れる!」と本気で思ったほどです。しかし、次に頭をよぎったことは「お客様の安全」です。幸い、その日は来客が少なく、被害に遭われたお客様もいらっしゃいませんでした。打ち合わせは即中止となり、帰社されていきました。

 お客様が帰られた後ようやく、「私たちはどうなるの? 社員のみなさんは避難していたりするのでは!?」と思い始めました。というのも17階は来客フロアのため、社員が避難しているかどうかを知ることができなかったからです。後から知ったのですが、17階以外にいた方々はすでに全員避難していたそうです(笑) その事実を知った時点では揺れも収まり、冷静さを取り戻していたので「誰も受付のことは心配してくれないのか!」と思ったくらいでしたが、これも受付嬢の宿命なのかと感じた出来事でした。

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