ビジネスパーソン大航海時代

世界を良くするライジングサンへ ファンド投資家という生き方~航海(9)

小原聖誉
小原聖誉

 「私はファンドを作る前もエンジェルとして投資をしていましたが、その段階ではVCから見ると、実績・実態がないコンサルタントだと思われていた可能性もあると思います。ファンドを作ってから扱いが変わりました。私自身は何も変わっていないのですが」

 わらしべ長者のような話で面白い。

 「通常のファンドは一部の出資先だけが成功しても、ファンドのリターンとしては成功となります。しかし、私の投資先はほぼ全てを成功させたいと考えています。ファンド規模は大きくありませんでしたし、1号目が失敗すると次がありません。そこで、SaaSというビジネスやAIという領域であればうまく行きやすいと考えてそこに限定し、現場支援することで離陸するところまでは支援することにコミットしたのです。それが上手くいきました。私は結果で示していきます」

 人生とは配られたカードでいかに成果を出すのかに着きますが、郡さんはそれを最大化する人物だと理解しました。積み上げて大きなものを作っていきます。

 「いままで自分の活動の背景を語ったことはありませんでした。僕は人助けしたいのです。なぜなら生まれた世界をよくできると思っているから。シリコンバレー発の好きな言葉があります。“make the world a better place”(世界をより良い場所にする)。まさにそういうことです。つまりグローバルで良くしたい。アフリカの飢えを無くすくらいに」

 孫さんのようになれ、と言われたら想像がつかない。

 だがしかし。

 彼は規模こそ大きくはないが、孫さんと同じようなアプローチのように見える。そして着実に大きくなってきている。その姿はホラ吹きと言われながら実態を伴わせていった孫さんの姿とシンクロした。

 そこに日本から世界をより良くするライジングサンを見た。

 郡さん、ありがとうございました。

小原聖誉(おばら・まさしげ)
小原聖誉(おばら・まさしげ) 株式会社StartPoint代表取締役CEO
1977年生まれ。1999年より、スタートアップのキャリアをスタート。その後モバイルコンテンツコンサル会社を経て2013年35歳で起業。のべ400万人以上に利用されるアプリメディアを提供し、16年4月にKDDIグループmedibaにバイアウト。現在はエンジェル投資家として15社に出資し1社上場。
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ビジネスパーソン大航海時代】は小原聖誉さんが多様な働き方が選択できる「大航海時代」に生きるビジネスパーソンを応援する連載コラムです。更新は原則第3水曜日。アーカイブはこちら

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