【日曜経済講座】米自動車関税の影響どこまで 「ドミノ効果」なら世界景気腰折れの懸念
更新ところで、一方的に輸入制限を発動する保護主義的な政策が、関税応酬の「ドミノ」につながったケースとして思い起こされるのが、1930年代の「貿易戦争」だろう。トランプ政権の強硬策に対しては、「30年代にかけて保護主義が高まり、世界が大不況に転落した過ちを繰り返すな」として、貿易戦争の再来を危惧(きぐ)する見方がある。
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当時を振り返ると、米フーバー政権下の30年に関税法「スムート・ホーリー法」が成立。国内産業を保護するため、約2万品目で輸入関税の大幅な引き上げを実施し、欧州各国から報復関税を招いたことで世界貿易が激減し、世界不況が深刻化した。
ただ、こうした歴史上のケースとトランプ政権の輸入制限を比較すると、現状では米政権が発動済みの追加関税の規模は30年代より小さい。
ピーターソン国際経済研究所の通商専門家、ボーン氏とダートマス大のアーウィン教授の試算によると、米政権が既に実施した(1)太陽光パネル・洗濯機への追加関税(2)鉄鋼・アルミニウムの輸入制限(3)340億ドル分の製品に対する対中制裁-では、関税対象額が計約920億ドルと昨年の米輸入額の約4%相当にとどまっているという。一方、スムート・ホーリー法で対象となったのは、当時の輸入額のほぼ3分の1だったとされる。