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大手5行決算 8年ぶり高水準 本業の収益力に課題 株価頼み続かず
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記者会見する三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長=2014年5月14日午後、東京都中央区日本橋本石町の日本銀行本店(共同) 三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行5グループの2014年3月期連結決算が5月14日、出そろった。株高で投資信託の販売が好調だったほか、不良債権が大幅に減ったことが利益を押し上げ、最終利益の合計は前期比9.6%増の2兆8669億円となった。日銀の大規模な金融緩和策などアベノミクス効果で景気は回復基調にあり、最終利益は06年3月期以来、8年ぶりの高水準となった。
三菱UFJは、海外向け貸し出しや手数料業務の収益が伸び、最終利益は15.5%増の9848億円となった。
三井住友フィナンシャルグループは、海外事業が好調だったほか、上場投資信託(ETF)の売却益が膨らみ、5.2%増の8353億円と過去最高を更新した。
みずほフィナンシャルグループは、かつて不良債権処理費用として計上していた引当金がいらなくなって利益となり、22.8%増の6884億円と過去最高を更新した。
三井住友トラスト・ホールディングスは2.9%増の1376億円。りそなホールディングスは前期比19.8%減の2206億円だった。
≪本業の収益力に課題 株価頼み続かず≫
大手銀行5グループの2014年3月期連結決算は好業績が相次いだものの、15年3月期はりそなホールディングスが32%減を予想するなど、一転して4グループが最終利益の減益を見込む。14年3月期は貸し出しなど本業の収益力の弱さを株高が補ったが、それが続かないと予想しているためだ。収益性の高い貸し出しを増やすことが、安定成長に向けた課題となる。
「(14年度の)資金需要は13年度より期待したいが、金利は大きな改善を期待しにくい」。決算を発表したみずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長は14日、国内貸し出しの収益環境の厳しさを強調した。
全銀協によると、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行といった都市銀行5行や信託銀行の13年度末の国内貸出金は、12年度末比でそれぞれ微増した。
だが、日銀が昨年4月に導入した大規模な金融緩和や銀行間の競争激化の影響で、貸出金利から預金金利を引いた利ざやは低下し、本業での厳しさが続く。
鍵を握るのは国内の成長分野への貸し出し増と海外戦略の加速だ。過去最低水準にある金利の悪影響を打ち消すには、貸し出しを伸ばしつつ、利ざやを期待できる農業、医療・介護といった成長分野への融資をいかに増やすかが試される。
また企業の設備投資を引き出して資金需要を高める努力に加え、国内と比べて金利が高い海外事業の強化も急務となる。(SANKEI EXPRESS)