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東証、一時1万5000円割れ 米中「発火点」 新興国から資金逃避

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東証、一時1万5000円割れ 米中「発火点」 新興国から資金逃避

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日経平均株価の推移/円相場の推移=2013年11月~2014年1月27日  ≪世界同時株安が加速≫

 世界同時株安が加速している。週明け1月27日の東京株式市場は日経平均株価が大幅続落し、取引時間中としては約2カ月ぶりに一時1万5000円を割り込んだ。下げ幅は一時、前週末比で400円を超えた。東京外国為替市場の円相場も一時1ドル=101円台をつけるなど、新興国経済の先行きに対する懸念が週明けも続いた形だ。

 東証一部の銘柄は1997年以降で最多となる98%が下落した。平均株価の終値は、前週末比385円83銭安の1万5005円73銭となった。円相場も午後5時現在は、前週末比68銭円高ドル安の1ドル=102円68~69銭と円高が進んだ。(1月)23日に発表された中国の製造業の景況感を示す経済指標が市場予想を下回り、トルコやアルゼンチンといった新興国の通貨が急落。新興国からの資金流出が進むとの見方から、投資家がリスク回避の動きに拍車をかけた。

 カブドットコム証券の河合達憲チーフストラテジストは「11月上旬から続いていた強気一辺倒の相場が変わりつつある」と指摘した。

 ≪米中「発火点」 新興国から資金逃避≫

 新興国からの資金逃避が止まらない。発火点は「米国の過剰な緩和マネー」と「中国の不良債権問題」だ。ブラジルやトルコなどでは、通貨、債券、株式が同時に売り込まれるトリプル安の「新興国売り」が加速しており、資金は比較的安全とされる米ドルや円に還流している。こうしたリスク・マネーの逆流が、世界経済の成長に足かせとなる可能性も出てきた。

 米国務省が1月半ば、ニューヨーク駐在の海外特派員を招待してモルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカなどの地元金融機関を訪問するツアーを組んだ。ウォール街の世界経済に対する見方を紹介する――という趣旨だったが、エコノミストらは共通して「新興国経済の先行き警戒感」(米投資銀行のキーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ)を強調した。

 懸念の中核は、通称「フラジャイル・ファイブ(脆弱(ぜいじゃく)なる5カ国)」といわれるブラジル、インド、インドネシア、トルコ、南アフリカの5カ国。いずれも国家の現金収支ともいえる経常収支が赤字で、対外短期債務に対する外貨準備高の水準が低い新興国群だ。インフレ圧力から債券が売られて金利が上昇。これにより対外債務の返済が危ぶまれて通貨が売り込まれた。先週、アルゼンチン・ペソが売られたのも同じ理由だ。

 「フラジャイル・ファイブ」を中心に組み込んだMSCI新興国株式指数(図参照)は、先週末時点で昨年(2013年)末から5%、直近の高値だった昨年(2013年)10月から9%も低下した。これは米連邦準備制度理事会(FRB)による量的金融緩和の縮小を先取りした動きとなっており、これまで低金利の米ドルや円で資金調達し、新興国の証券に投資していたマネーの逆流を意味する。こうした新興国に共通するのは、中国を輸出先や投資主として抱えている点だ。「影の銀行(シャドーバンキング)」に代表される中国の不良債権問題に対する懸念が1月半ばに強まり、中国経済への不安が新興国に波及して新興国売りを招いた側面もある。

 新興国売りは、米国など先進国の株安にもつながっており、海外売上高比率の高い企業が株価を下げている。FRBによる量的緩和からの出口戦略が進むうえに、不良債権問題を抱え込んだ中国の金融システムがその馬脚を現わし、世界中にじゃぶじゃぶとあふれていた過剰な緩和マネーによる「過剰流動性バブル」がついにほころびを見せたのだ。(SANKEI EXPRESS

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