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海上に消えた機体、深まる謎 マレーシア航空 遭難信号出さず

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海上に消えた機体、深まる謎 マレーシア航空 遭難信号出さず

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 8日未明、クアラルンプールから北京へ向かう途中に遭難信号も出さないまま、南シナ海上でこつぜんと姿を消したマレーシア航空370便(乗客乗員239人)。9日夜になってもその機体は確認されず、世界で最も安全な旅客機の一つとされるボーイング777に何が起きたのか、謎が深まっている。マレーシアの航空当局者は「テロなどの可能性も排除していない」と述べ、米CNNテレビは、マレーシア側の要請があれば、米連邦捜査局(FBI)は捜査チームを派遣する用意があると報じた。

 マレーシアの航空当局者は9日、370便の乗客のうち2人が偽名の旅券で搭乗していたと明らかにした。搭乗者名簿にあるイタリア人とオーストリア人の2人は実際には乗っておらず、ともに1~2年前にタイで旅券を盗まれていたという。また、軍のレーダーを分析した結果、370便は消息を絶つ直前に航路を外れ、引き返そうとした形跡があることも判明。当局者は「テロの可能性も排除できない。しかし、盗難旅券が直ちにテロを示すものではない。現時点ではテロの証拠はない」と述べた。

 米運輸安全委員会(NTSB)は8日、機体が米ボーイング社製の777-200型機であることから、調査チームを派遣したと発表した。

 遭難信号出さず

 乗客の国籍は15カ国・地域にわたり、中国人と台湾人が計154人を占める370便は8日午前0時41分(日本時間8日午前1時41分)にクアラルンプール国際空港を離陸。機長は飛行総時間1万8365時間のベテランで、午前1時すぎに「これからマレーシアからベトナムの空域に入る」とホーチミンの航空管制に通告し、ベトナム側も確認した。これは通常の作業で異常のサインはなかったという。370便が消息を絶ったのはこの通信の直後で、1時30分には航空管制のレーダーから機影が消えた。

 機体の捜索は、マレーシアのほか、米国や中国、シンガポール、タイの空海軍などが艦船40隻と航空機22機を投入して実施。ベトナムも捜索活動を行っているが、2日経っても手がかりは得られていない。

 機体に異常が生じたのなら、降下しながら地上に「メーデー」といわれる遭難信号を出す時間はあったはずだが、出ていない。信号を出すまでもなく、瞬間的に操縦不能となる爆発などが発生した可能性も考えられるが、爆発すれば残骸が散らばり、海面に浮くはずだ。また、引き返そうとしたのが事実なら、急病人や乗客のトラブルも考えられるが、消息を絶った原因は不明だ。

 爆弾持ち込み?

 一方、香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは9日、北京行きのマレーシア航空機が消息を絶ったことに関連し、中国の最高指導部が8日、軍に対し、北京中心部に近づこうとする不審な民間機があれば撃墜するよう緊急命令を出したと伝えた。センターは、370便に爆弾を持った人物が搭乗し、北京上空で乗っ取って中国の権力の中枢「中南海」に突っ込む予定が、発見されて爆破した可能性があると指摘しているが、根拠は不明だ。北京では全国人民代表大会(全人代=国会)が開会中で、厳戒態勢が敷かれている。(SANKEI EXPRESS

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