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継承されている「平和を愛する精神」 鈴木日宣

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継承されている「平和を愛する精神」 鈴木日宣

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日蓮宗系の尼僧、鈴木日宣(すずき・にっせん)さん=2013年11月28日、千葉県内(瀧誠四郎撮影)  【尼さんの徒然説法】

 ぴんと張りつめた冷たい空気。凍える指先を口にあて真っ白な息を吐きながら空を見上げると、そこにはまことに色鮮やかな青空が広がっています。寒々と見える裸木も真っ青な冬空にとても美しく映えています。せっかく咲きかけた梅の花も引っ込んでしまいそうなほどの寒さですが、今の季節でしか味わえない美しさを感じながら一緒に「春」を待ちましょう。

 今日、2月11日は建国記念の日。「日本が国家として成立した日」です。紀元前660年、今から2674年前に建国され、世界で最も長く続いている国ということをご存じでしょうか。

 素晴らしい「建国の理想」

 日本最古の歴史書である古事記や日本書紀にはおおむね次のようなことが書かれています。天地がまだはっきりと分かれていないころに神々がお出ましになり、イザナギ、イザナミの二神によって国生みが始められます。そして八百万(やおよろず)の神々も生まれ、天(高天原(たかまがはら))を統率されていたのが天照大神(あまてらすおおみかみ)です。

 天照大神は孫のニニギの命(みこと)に三種の神器をお渡しになり「稲穂が豊かに実る美しい国がこの雲の下にある。お前がその国を治めなさい」とお命じになりました。ニニギの命は地上に降り(天孫降臨(てんそんこうりん))、長い年月をかけて九州一帯を治めました。しかしまだ日本全体が治められていたわけではありません。ニニギの命のひ孫の代になり「この国の人々が安心して豊かに暮らせるようにするためには日本の中心である美しい大和の国(奈良)に都を置くことがよい」とお考えになり、大変なご苦労をされて九州から大和の国に遷(うつ)られました。そして紀元前660年、太陽暦の2月11日に「この国は神々から授かったものである。その御徳(みとく)に応え私たちも正しい道を歩もう。天の下に住むすべての者が大家族のように仲良く暮らせる国にしていこうではないか」と日本を建国し初代天皇となられました。それが神武天皇です。

 正しい道を弘め大家族のように仲良く暮らせる国に-。世界中どこを見てもこのような素晴らしい理想を持って建国された国などありません。125代続く天皇には代々、平和を愛する神々の御心(みこころ)が受け継がれており、国民はその崇高な御心を持つ天皇を尊んできました。神代より日本人は平和を愛する心を持った民族なのです。

 自己犠牲、「菩薩の国」

 また仏教の目から見ても日本は「菩薩の国」と言われています。日本人は自らを犠牲にしても他を利するという菩薩の生命を根本に有しているからです。例えば大東亜戦争において、自国のためにだけではなく欧米諸国の植民地となっていたアジア諸国の独立のために命がけで戦った日本人が数多く存在します。「独立への第一歩」として民族の誇りと自信を持たせ、自らも現地の方々とともに戦い独立に導きました。パラオでは「日本と一緒に戦う」という現地人を一喝し、すべての民間人を逃したあと玉砕した日本軍もあります。他の国の未来を守るために自らを犠牲にされた数多くの日本人。人類の平和のために日本人の精神はあると言っても過言ではありません。

 建国記念の日に当たり、私たちは神代から「平和を愛する精神」(菩薩の生命)を受け継いでいるということに、あらためて日本人としての誇りを持とうではありませんか。

 ≪三種の神器のとても大切な意味≫

 三種の神器とは皇位継承の御徴(おしるし)である「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)・草薙剣(くさなぎのつるぎ)・八咫鏡(やたのかがみ)」のことです。勾玉と鏡は天の岩戸にお隠れになった天照大神を誘い出されるときに使われた物、剣はスサノオノミコトが退治した八岐大蛇(やまたのおろち)の体から出てきた物で、天照大神が「地上を治めるように」と孫のニニギの命にお命じになられたときにお渡しになったと伝えられています。現在八咫鏡は伊勢神宮に、草薙剣は熱田神宮に、そして八尺瓊勾玉は宮中賢所(きゅうちゅうかしこどころ)におのおの奉安されています。

 この三種の神器にはとても大切な意味があります。

 玉-明(あか)き心-慶びを積み(行政)

 鏡-清き心-暉(かがや)きを重ね(立法)

 剣-直(なお)き心-正しきを養う(司法)

 明き清き直き心の建国の理想と政治理念(三権分立)を顕しているといわれています。剣のように正義の心で司法を行い、鏡が差別なくありのままに映すように公明な立法を行い、勾玉のように巧みでしなやかな行政を行う。こうして神代から現代に至るまで、万世一系の天皇が途絶えることなく伝授し系統してきたことにより三種の神器に込められた日本建国の精神が脈々と受け継がれてきました。

 私たち日本人は世界最古の、そして神々の御心を受け継ぐ気高い王朝を頂く素晴らしい国の民族であり、「明き心・清き心・直き心」を本質として持っている民族であることを深く心に刻みこんでいただきたいと切に願っています。(尼僧 鈴木日宣/撮影:瀧誠四郎/SANKEI EXPRESS (動画))

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