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反政権メロディー 革命鼓舞 ウクライナ 戦闘服ピアニスト、打倒訴え

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反政権メロディー 革命鼓舞 ウクライナ 戦闘服ピアニスト、打倒訴え

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ウクライナ・首都キエフ、EU(欧州連合)加盟国  東欧のウクライナで続く、親ロシア派のヤヌコビッチ政権の打倒を目指す反政権デモは3カ月目に突入した。政権側の治安部隊が弾圧を強めるなど対立が激化するなか、首都キエフのデモ隊の拠点に戦闘服姿でピアノを演奏する活動家が登場し、参加者を勇気づけている。治安部隊とにらみ合うバリケード前でプロポーズをして愛を誓うカップルまで現れた。たくましいデモ参加者たちは、“革命”の実現へ士気を高めている。

 「士気高める音楽」

 「政府は、われわれを過激派や犯罪者と呼ぶが、そうではない。人々はお金や暴力のためではなく、愛国心からここにいるのだ」

 戦闘服に身を包み、スキー用の目出し帽をかぶった男性ピアニストは2月1日、ロイター通信の取材にこう訴えた。

 「ピアニスト過激派」と呼ばれるこの男性は、デモ隊が占拠した市庁舎内で、ウクライナ国旗と同じ青と黄色に飾られたピアノの前に座り、欧州で人気の高いイタリア人のピアノ奏者兼作曲家、ルドヴィコ・エイナウディ氏(58)の曲などを演奏。庁舎外のいてつく路上で抗議活動を続けるデモ隊参加者を鼓舞している。

 弾圧を恐れる男性は、自身について20代で、西ウクライナの音楽学校で学んだとだけ説明。戦闘服を着ているのは、デモ隊を「危険な武装集団」と決めつける政権への皮肉だという。

 男性は「ここにいる人々が、教育を受けた普通の人々であることの証しとして音楽を奏でている」と強調。「音楽は人々の士気を高めている。音楽には革命の精神がある」と訴えた。

 デモ最中にプロポーズ

 さらに2日には、デモ隊が座り込みを続ける広場のバリケード近くで、ヘルメットに防弾チョッキ姿の青年が突然、女性の前にひざまずき拡声器で、「結婚してほしい」とプロポーズ。付き合い始めて18カ月という女性は感激して男性と抱き合い、口づけを交わした。AP通信などが伝えた。

 「いつプロポーズしようかと悩んでいたら、“革命”が始まってしまった」と、この男性。デモ隊の仲間も花束を渡し、「英雄に栄光あれ!」などと歓声を上げ祝福した。

 反政権デモは昨年(2013年)11月末に、親ロシア派のビクトル・ヤヌコビッチ大統領(63)が欧州連合(EU)への加盟を棚上げすると同時に、投獄されている親EU派のユリア・ティモシェンコ前首相(53)の釈放を拒否したことから勃発した。欧米メディアによると、キエフには反政権派の約10万人が集結。警官隊との衝突で、デモ参加者6人が死亡し、数百人規模の負傷者が出ている。

 さらに政権側の治安部隊が拘束した男性を氷点下10度の雪上で全裸にして虐待する動画が内部告発で公開されるなど弾圧も発覚。活動家のドミトロ・ブラトフ氏(35)が1月下旬に、何者かに拉致され1週間以上拷問を受け、耳の一部を切り取られるなど傷だらけで発見される事件も起き、ヤヌコビッチ政権側の関与が疑われている。

 憎しみの連鎖により、対立は深まるばかりだ。「ウクライナで何が起きているのか知ってほしい。政府は犯罪を行っており、罰せられなければならない」。戦闘服のピアニストは、ヤヌコビッチ政権打倒を訴えた。(SANKEI EXPRESS

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