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元祖テディベアがくれる癒やし シュタイフ青山
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昨年(2013年)11月、東京・青山にドイツを代表するぬいぐるみのブランド「シュタイフ」(Steiff)のトータルブティック「シュタイフ青山」が日本で初めてオープンした。ベビー&子供服ブランドを本格展開しているほか、青山限定のテディベアも販売。愛らしい動物のぬいぐるみたちがナビゲートしてくれる癒やしの空間を訪ねた。
東京メトロ・表参道駅から徒歩1分。青山通り沿いにあるシュタイフ青山の1階フロア前に立つと、ベージュ色のテディベアを背負ったトラの人形が“番犬”としてショーウインドー越しににらみを利かしていた。奥の陳列棚に控えるかわいらしいテディベアや子供服を一生懸命に守っているかのような風情に、つい頬が緩んでしまった。2階部分のショーウインドーには、体長2メートルはあろう巨大なキリンの人形がずしりと陣取っている。おしゃれな店が軒を連ねる青山通りを悠然と見下ろしている姿はひときわ印象的だ。
1階フロアに入ると、新作から定番まで豊富に取りそろえたテディベアのぬいぐるみのほか、日本初上陸の愛らしい子供服がずらり。陳列ケースの中には、2頭身の白い招き猫のぬいぐるみが、大きな小判を大事そうに片手に抱えて笑顔で手招きをしていたり、きらびやかな紫色の和服を着た白いテディベアが背筋をピンと伸ばし、口を真一文字に結んで、中空を見上げていたり-と、日本人が好みそうなキャラクターも目に付いた。
1階の奥にあるらせん状の階段に足を向けると、壁には大きな創業者たちの写真とともにブランドの歴史について説明が記されていた。それによると、創業したのは、南ドイツの小さな街、キンゲンで生まれたマルガレーテ・シュタイフ(1847~1909年)という女性。1歳のとき、小児まひにかかった結果、右手と両足が不自由となり、車椅子で一生を過ごしたという。両親は「自立できるように」と学校に通わせ、裁縫もマスターさせた。親の意をくんだマルガレーテは20代のとき、姉2人とミシンを購入し、自宅で裁縫店を開業。シュタイフ社の前身「フェルト・メール・オーダーカンパニー」を設立して、女性や子供服の販売を手がけていた。
そんなある日、雑誌で象のイラストを偶然目にしたマルガレーテは、おいやめいたちのクリスマスプレゼントに象をモチーフにしたおもちゃをプレゼントすることを思いつく。フェルトを素材に、中身には最上の羊毛を詰め込んだ象のおもちゃを8体作ったところ、子供たちに喜ばれたほか、針刺しとして贈られた大人の女性たちにも好評を博したとか。ぬいぐるみ作りのきっかけとなったこの1880年がシュタイフ社の創業の年とされている。
では、テディベアはどのように誕生したのだろう。1897年から事業を手伝ってきたおいのリチャードがマルガレーテに「本物のようなクマのぬいぐるみ」の製作を提案し、完成させたのが世界初のテディベアで「55PB」だという。「ペットと家族の中間に位置する存在のおもちゃ」をコンセプトに据え、子供が抱きやすいサイズ、怖すぎない表情、心地よい肌触りとなるように心を配った。首と手足が動く「55PB」は見本市で米国人バイヤーの目にとまり、改良を重ねて量産態勢に入ったそうだ。
広さが1階の倍近くある2階は、新生児が口に入れても安全で、丸洗いもOKのぬいぐるみと、新生児・子供向けの服、ギフトセットなどがトータルでコーディネートされていた。シュタイフ社の日本輸入総代理店「MS1880」の田村哲朗代表によると、「欧米では『出産祝いならシュタイフ』と言われるほど、シュタイフの赤ちゃん・子供服は大変人気がある」といい、その理由は、ぬいぐるみ作りで培われてきた「素材へのこだわり」や「丁寧な縫製」といった心がけが、一つ一つの製品に行き届いているからだと指摘した。愛らしさ、おしゃれといった側面に加え、子供に持たせても着せても安全で、ぬいぐるみで言えば、大人になっても大切な友達でいられるような心に残るアイテムを追求し続けていきたいとしている。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:大山実/SANKEI EXPRESS)
シュタイフ青山
東京都港区南青山3の13の24。午前11時~午後7時30分。年中無休(年末年始を除く)。(電)03・3404・1880。steiff.info/shop/