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東証大発会、いきなり冷や水1万6000円割れ

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東証大発会、いきなり冷や水1万6000円割れ

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東京証券取引所の大発会に晴れ着姿で参加した女性たち。取引初日は6年ぶりに下落で終わる波乱の幕開けとなった=2014年1月6日、東京都中央区日本橋兜町(三尾郁恵撮影)  2014年初めての取引となる大発会を迎えた1月6日の東京株式市場は、日経平均株価が前年末から大幅に下落した。終値は1万6000円台を割り込み、下げ幅は一時、400円を超えた。東京市場は年末まで9営業日連続で上昇し、株価の過熱感が強まったことから売り注文が広がったとみられる。年初の取引が下落で終わるのは08年以来6年ぶりで、市場は波乱の幕開けとなった。

 市場では「昨年(2013年)末までの続伸で、利益を確定する売りが膨らんだ」(大手証券)との見方が多い。東京外国為替市場の円相場が1ドル=104円台前半で推移するなど、円安が一服したことも売り材料だった。

 終値は前年最後の取引日の12月30日に比べ382円43銭安の1万5908円88銭。終値の下げ幅としては、前年10月25日以来の大きさ。出来高は約29億2400万株だった。

 ≪NISA好影響 2万円めざす1年≫

 大幅下落で始まった1月6日の東京株式市場は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」への期待から大幅高に沸いた株式市場に冷や水を浴びせた。ただ、少額投資非課税制度(NISA)がこの日、本格的にスタートしたほか、新株価指数「JPX日経インデックス400」も登場するなど、「貯蓄から投資へ」の流れに対する期待は大きい。前年の株高の流れを引き継ぎ、さらに高値を目指せるか。企業の経営改革や政府の成長戦略が問われる1年となりそうだ。

 「デフレの色が消え、黙っていても現金の値打ちが上がる時代は終わる」

 6日の取引開始に先立ち、東京証券取引所で開かれた大発会で、麻生太郎金融担当相(73)はこう強調し、株式などリスク資産への投資を含む運用の重要性が増すと指摘した。

 ただ、この日は午前から売り注文が広がり、前年最後の取引日の12月30日に比べ382円43銭安で取引を終えた。2000年以降で、年初の平均株価が下落で終わったのは、ITバブルが崩壊した01年と、リーマン・ショックが起きた08年の2回だけだ。

 野村ホールディングスの永井浩二最高経営責任者(CEO)は、6日の日本証券業協会の賀詞交換会で「市場は消費税増税を織り込んでいるが、国内総生産(GDP)には一定の影響がある」と、今春の消費税率引き上げが日本経済に与える影響に懸念を示した。

 13年の株式市場は年末の証券優遇税制廃止もあり、個人投資家が約8兆円売り越したが、海外投資家が14兆円超の買い越しで吸収し株高を維持した。ただ、今年も海外投資家の買いが膨らむとは限らない。

 こうした中で市場ではNISAについて、個人投資家を呼び込み、株価を下支えするとの期待が高まる。

 大和証券グループ本社の日比野隆司社長は、NISAによる個人投資家の買いが市場に好影響を与えるとして、「年末にかけては(日経平均株価は)2万円にチャレンジするだろう」と期待を示した。同様に野村証券は先月(2013年12月)30日、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が成功するのを前提に、18年に2万5000円という予想を打ち出した。

 6日の株価下落については、当面の利益を確保する動きによる「一時的な調整に過ぎない」(大和証券の塩村賢史シニアストラテジスト)との見方が大勢だ。だが、今後の株価次第ではアベノミクスの真価が問われることになる。

 ≪「JPX日経400」算出開始≫

 資本をどれだけ効率的に使って経営しているかを示す株主資本利益率(ROE)などが高い企業400社で構成する新株価指数「JPX日経インデックス400」の算出が1月6日、始まり、初値は11728.21をつけた。その後は軟調に推移し、設定された昨年末の終値比98.18ポイント安の11669.06で取引を終えた。

 新指数は日本取引所グループなどが算出。グループの斉藤惇最高経営責任者(CEO)は6日の大発会のあいさつで、「資本市場の立場から企業の変革や成長を促す施策に取り組んでおり、新指数もこの一環だ」と強調した。

 新指数は東京証券取引所の市場1部や新興市場などに上場する400銘柄で構成した。営業損益や最終損益が3年連続赤字の企業は除外し、売買代金や時価総額を基準に上位1000社を選定。直近3期の平均ROEや累積営業利益のほか、社外取締役の選任状況なども加味して選んだ。

 パナソニックや任天堂、大和証券グループ本社などの主要企業は新指数に選ばれていない。こうした企業に400社入りを目指す経営改革を促すことで、上場各社のROEなどが向上すると期待されている。(SANKEI EXPRESS

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