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答えよりも問いかけの多い作品 映画「ザ・イースト」 エレン・ペイジさんに聞く

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答えよりも問いかけの多い作品 映画「ザ・イースト」 エレン・ペイジさんに聞く

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映画「ザ・イースト」(ザル・バトマングリ監督)のロサンゼルス・プレミアに姿をみせたエレン・ペイジ=2013年5月28日、米カリフォルニア州ロサンゼルス(AP)  望まない妊娠をした少女の葛藤を描いた「JUNO ジュノ」で抜群の存在感を示し、スターダムへと駆け上ったエレン・ペイジも今や26歳。新作スリラー「ザ・イースト」(ザル・バトマングリ監督)では環境汚染や健康被害をもたらす悪質な大企業に鉄槌(てっつい)を下す環境テロリスト集団「イースト」のメンバーを演じた。SANKEI EXPRESSのメール取材に応じたペイジは「答えよりも問いかけの方が多い作品だと思います。この映画を見て、人によっては以前知らなかったことに目を向けてくれることになるかもしれません」と期待を込めた。

 非暴力的であるべき

 元FBI捜査官のサラ(ブリット・マーリング)は、イーストが繰り返す「報復」からクライアント企業を守ろうと、イーストへ潜入。最初こそイジー(ペイジ)ら構成員の考え方に違和感を覚えるが、次第にカリスマ的なリーダー、ベンジー(アレキサンダー・スカルスガルド)に理解を示すようになる。ほどなく大規模なテロ計画が実行に移されることになり…。

 反捕鯨団体「シー・シェパード」が日本の捕鯨船に繰り返してきた執拗(しつよう)な妨害行為を踏まえ、鯨を食べない西洋人のペイジが自分の役どころを説明する語り口は丁寧かつ慎重だった。「環境破壊が進行していることも周知の事実。環境破壊を食い止めることは人類の大きな挑戦でしょう」と前置きしたうえで、「『目には目を、歯には歯を』の姿勢で臨むイーストのやり方を支持しません。モラルの観点からも問題をはらんでいます」と強調し、非暴力的な形で環境保全活動を展開する道を目指すべきだとの立場を明らかにした。

 監督の大ファンだから

 環境テロリストというなかなか理解が得られにくい役どころを、ペイジがあえて選んだのは、本作でプロデューサー、脚本、主演も務め、ジョディー・フォスターの再来といわれるブリット・マーリング(31)と、カルト教団に潜入するカップルを描いたスリラー「Sound of My Voice」のザル・バトマングリ監督の大ファンだからという。「私は特に『Sound of My Voice』が好きで、バトマングリ監督と一緒に仕事をしたいと思っていました。個人的にも興味をもって学んだりしていたことを、映画として世の中に提示する作品であることに興奮しました」

 作品で描かれた倫理観のない製薬業界の実態は、スティーブン・ソダーバーグ監督(50)も最後の劇場用作品「サイド・エフェクト」で告発したように、米国では国民にとって身近な問題であるようだ。ペイジは「製薬業界が抱えている問題への関心は、メーンストリームなものとなってきました。以前ならばそうした問題に触れるのはごく一部の人間だけでしたから。実際、きちんと安全性がテストされないまま薬が売られてしまったといった話は、報道などで聞こえてきますよね」と振り返った。

 映画で自己解放

 演技の世界に身を置いたのは10歳のときだが、多感な思春期に人生いろいろと思うところがあり、ペイジが「映画って面白いな」と感じて、本格的に演技に取り組むようになったのは15歳だった。「カナダのインディーズ映画をむさぼるように見ました。私の思春期の大部分を映画が占めていました」。映画の効用とは「自分が成長するにつれて、あらゆる観点から物事を考えられるようになること。自分を解放する手段なんですね。同時に、映画から生きる情熱をたくさんもらいました。その情熱こそ、映画に携わる仕事をしたいという思いへとつながったのです」とキッパリ。

 最近、監督業への進出も報道されたばかりのペイジは目下、エバン・レイチェル・ウッド(26)が主演する「Into The Forest」のプロデュースを手掛けている真っ最中だという。「監督業やプロデュースをしたい理由は、より密な形で、企画段階からじっくり関われることに魅力を感じるからです。私は自分で脚本も書きますが、脚本を書いたうえで、監督も務めて、作品となったものはまだありません。いつか実現したいです」。2014年1月31日、全国公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS

 ■Ellen Page 1987年2月21日、カナダ・ノバスコシア州生まれ。10歳でテレビ映画に出演し、女優のキャリアをスタート。妊娠したティーンエージャーを演じた2007年「JUNO/ジュノ」で米アカデミー賞やゴールデングローブ賞などの主演女優賞にノミネート。主な出演作は、06年「X-MEN:ファイナル ディシジョン」、10年「インセプション」など。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2014年1月1日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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