SankeiBiz for mobile

マフィア滅ぼす合法大麻 ウルグアイ、世界初の法案可決

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

マフィア滅ぼす合法大麻 ウルグアイ、世界初の法案可決

更新

ウルグアイ・首都モンテビデオ  南米ウルグアイの議会上院が12月10日、麻薬の一種であるマリフアナ(大麻)の栽培や販売を合法化する法案を可決した。推進役のホセ・ムヒカ大統領(78)が近く署名し来年4月にも施行される。米国の2州で昨年、嗜好(しこう)品としての大麻を合法化する州法が成立したが、国として合法化するのは世界初だ。麻薬の密売価格を暴落させ、南米にはびこる麻薬マフィアに壊滅的な打撃を与えるのが狙いという。保守的なカトリック教徒が多い国内からは強い反発の声が上がっているが、南米諸国はどこも麻薬犯罪に頭を抱えており、追随の動きが広がる可能性もある。

 大統領が旗振り

 「組織犯罪を行い、治安を脅かし、青少年らを犯罪行為に誘う麻薬密売組織と戦うことができるようになる」

 上院議員のロベルト・コンテ氏は10日、米CNNに合法化の意義をこう強調した。

 現地からの報道によると、首都モンテビデオの国会で法案が可決されると、議場は拍手と歓声に包まれた。議場の外でも“マリフアナ・カラー”の緑の風船や葉っぱの形の紙を持った支持者らが大喜びし、お祭り騒ぎとなった。

 法案は7月に下院を通過。施行されると、事前に所定の手続きを行った18歳以上の国民は栽培や販売、購入が認められる。購入は1人1カ月40グラムまで、栽培は年間苗6本(480グラム分)までに制限。愛好家による15~45人の「スモーキング・クラブ」を作ることを許可し、クラブでは年間99本の栽培ができる。

 「もし合法化すれば、われわれは(麻薬密売組織の)市場を壊滅できるだろう。なぜなら闇市場よりはるかに安い値段で販売できるからだ」

 ムヒカ大統領はかねてこう語り、合法化に心血を注いできた。左翼ゲリラ組織に属し誘拐などの犯罪にかかわって投獄された経歴を持つ。出所後に政界に進出し2006年の大統領選で勝利。国内で強い影響力を持つカトリック教会の反発を抑えながら、人工妊娠中絶の合法化や同性婚の容認といった南米では先進的な政策を進めてきた。

 63%は反対

 今回の大麻合法化に対して国内では反対の声の方が大きい。7月に行われた世論調査で賛成は26%にとどまり、反対が63%を占めた。

 アルフレッド・ソラリ上院議員は「マリフアナは人間に危害を加える物質なのに、予防措置がまったく講じられていない」と、青少年の心身への悪影響を指摘し反対を表明した。政府は「吸引目的の外国人を誘致する意図はない」としているが、南米で比較的安定している治安の悪化を懸念する声も強い。

 米国では昨年11月にコロラド州とワシントン州で住民投票で合法化が承認されたが、連邦法では禁止されたままだ。

 ただ、南米諸国では麻薬がらみの犯罪やマフィア同士の抗争の巻き添えで毎年、多くの市民が犠牲になっている。治安当局による掃討作戦にも限界があり、メキシコやグアテマラでも合法化が検討されている。

 ウルグアイのコンスタンザ・モレイラ上院議員は米メディアに、こう語り胸を張った。

 「今日は歴史的な日だ。南米の多くの国の手本となる法律になるだろう」(SANKEI EXPRESS

ランキング