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Google未来図 次はロボット 日本のベンチャーなど7社買収

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Google未来図 次はロボット 日本のベンチャーなど7社買収

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 米ネット検索大手グーグルがロボット事業に本格着手し、この半年間に、東京大学出身のロボット研究者らが立ち上げたベンチャー企業「SCHAFT(シャフト)」など計7社のロボット関連企業を買収したことが12月5日、分かった。商品の荷分け作業や配送などを行うロボットの開発が狙いとみられる。米ネット通販大手アマゾンも(12月)1日、小型無人機による商品配達計画を明かしており、ネット大手の相次ぐロボット事業への参入に、未来社会の姿としてSF小説やアニメが描いてきたロボットの時代が本格到来するとの声が出ている。

 「アンドロイド」生みの親

 「計画はまだまだ初期段階だが、進展ぶりを見るのが待ち遠しい」

 グーグルの最高経営責任者(CEO)、ラリー・ペイジ氏(40)は4日、自社の交流サイトでロボット事業への意気込みをこう述べた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)やUSAトゥデー(いずれも電子版)などによると、ロボット事業を率いるのは、世界でもっとも多くのユーザーを持つ携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」の開発責任者を務めたアンディ・ルービン上級副社長(50)。だが、事業計画の中身などについて、グーグルは堅く口を閉ざしている。

 ルービン氏はドイツの大手光学機器メーカー、カールツァイスでロボットエンジニアを務めた後、1989年から米アップルで製造エンジニアを担当。2003年に起業して携帯OSの「アンドロイド」を発明するが、05年、グーグルに買収され、「アンドロイド」と関連製品の開発に従事した。グーグル幹部はルービン氏のロボットエンジニアとしての豊富なキャリアと知的マシンの製造にかける熱意に着目し、ロボット事業の責任者に抜擢(ばってき)したとみられる。

 自社開発に強み

 そんなルービン氏が買収を働きかけた「シャフト」は東大情報理工学系研究科の研究者らが大学を離れ、12年に設立したベンチャー企業。従来の等身大ヒト型ロボットに比べ10倍の力を持ち、災害現場といった極限環境下での危険な作業をこなす高性能ヒト型ロボットの開発に成功している。グーグルは「シャフト」買収に伴い東京に専門の事務所を開設するとみられる。

 ルービン氏はNYT紙の電話取材に「ロボット事業は世界で最も素晴らしい仕事」と明言し、ロボット事業について「月面探査計画と同じで、10年の展望と十分な滑走期間が必要だ」との見通しを明かした。

 さらに「ロボット事業は未開市場だ。われわれはハードもソフトもシステムも自社で作るので、1チームで事業全体が理解できるようになる」と述べ、ロボット事業は決して複雑ではないと訴えた。

 実際、ロボット事業の将来性の高さは説明するまでもない。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)デジタルビジネス研究所のアンドリュー・マカフィー主任研究員はNYT紙に「工場の物流センターや食料品店の奥では多くの人々が働いている」と指摘。将来、彼らの労働はロボットに置き換えることができ、「ビジネスの好機は膨大にある」と太鼓判を押した。

 さらにUSAトゥデー紙は、グーグルはマップのストリートビュー構築用データを、ライバルのアマゾンが飛ばしたような小型無人機で収集すると予想した。小型無人機もロボットの一種だからだ。

 眼鏡型端末や自動運転車など新技術の開発に尽力するグーグルと、無人小型機の商用化にめどを付けたアマゾンが注力するロボット事業は、未来社会を劇的に変える力を持っている。(SANKEI EXPRESS

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