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苦悩する内面にいっそう迫りたい 舞台「CHESS in concert」 中川晃教さんインタビュー

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苦悩する内面にいっそう迫りたい 舞台「CHESS in concert」 中川晃教さんインタビュー

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 東西冷戦の時代、米ソのチェスチャンピオン2人の戦いと彼らを取り巻く人間模様を描いたミュージカル「CHESS」。昨年の日本初演が好評を博した、このミュージカルのコンサート版「CHESS in concert」が、12月に再演される。昨年に続き米のチェスチャンピオン、フレディを演じる中川晃教(31)は「フレディの苦悩する内面にいっそう迫って見せたい」と、新たな目標を胸に、役に挑む。

 心の揺れを歌で表現

 フレディはチェスの天才。幼少期に父母から愛されず、孤独を味わった彼にとって、ともに試合を戦うセコンド、フローレンス(安蘭けい)が唯一の理解者だった。だがフローレンスは奔放すぎるフレディに愛想を尽かし、対戦相手アナトリー(石井一孝)のもとに走る。「ただ一人だけ信頼し、愛や安らぎを与えてくれたフローレンスの裏切りは、フレディにとって全てを失うのに等しい」

 失意のフレディは第2幕、チェスを辞め、TV業界に入る。心の穴を埋めるかのように夜の歓楽に溺れ、“絶望と享楽は紙一重”などと歌う。

 この曲「ワン・ナイト・イン・バンコク」をはじめ、この作品の大きな見どころは、ABBAのベニー・アンダーソン(66)、ビョルン・ウルヴァース(68)による楽曲の数々。特にフレディには、低音から高音まで振れ幅が大きい楽曲が与えられている。

 「フレディのナンバーは高ぶったり、沈んだりする彼の尋常じゃない精神状態を表しています。低いメロディーは彼の言葉、高いところは彼の叫び。心の揺れを演技で表現できる人はいっぱいいますが、僕はそれを歌で表現したいです」

 ミュージカルを作る夢

 小学3年で作曲を始めた天才肌。年子の3人兄妹の真ん中で、共働き家庭に育った。「親に自分の思いを伝えたいんだけれど、うまく伝えられない子供でした。でも音楽は感情を伝えたり、実感させてくれる。とても興味が湧いてピアノに向き合い続けました。両親は僕を愛してくれましたが(笑)、どこか寂しかったんですね。ちょっとフレディに重なるところがあるかもしれない」

 そんな音楽の申し子は大人になり、今年は9本の舞台に立った。いつかはミュージカルを作りたい、という夢があるからだ。「ジョン・レノンやフィル・コリンズ、U2のボノとジ・エッジもミュージカルを手掛けた。いろんな舞台を通じて、スクリプトの書き方、音楽の作り方、あらゆることを学びたい。これからも目標を持って舞台に立ち続けます」と力強く言い切った。(文:津川綾子/撮影:荻窪佳(けい)/SANKEI EXPRESS

 ■なかがわ・あきのり 1982年、宮城県出身。2001年、「I WILL GET YOUR KISS」で歌手デビュー。02年、ミュージカル「モーツァルト!」の主演に抜擢され、文化庁芸術祭演劇部門新人賞など3つの演劇賞を受ける。その後も精力的に舞台出演を重ねながら、ライブ活動も行う。

 【ガイド】

 12月12~15日 東京国際フォーラム ホールC。梅田芸術劇場(東京)(電)0570・077・039。12月20~22日 梅田芸術劇場メインホール。梅田芸術劇場(大阪)(電)06・6377・3800

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