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自宅で作れる 手軽においしく 燻製入門
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手製の燻製でハイボール、至福のひととき。奥から時計回りにチーズ入りはんぺん、プロセスチーズ、タラコ、カマンベールチーズ
手作りの燻製でちょっと一杯…なんて、酒飲みの夢。とはいえハードルの高いイメージがある燻製だが、実は身の回りにある器具を使って簡単にできる。誰でも自宅で手軽に作れる方法を、『男の手作り燻製』などの著書もある人気ブロガー、燻製道士さんにレクチャーしてもらった。
大手酒造メーカーに勤務する傍ら、自宅やアウトドアで燻製づくりに励む様子をつづったレシピブログ「燻製記」。燻製初心者が参考にする人気ブログだ。
そんな燻製道士さんが燻製に目覚めたのは2007年。「大好きなウイスキーをおいしく飲みたいなあ、と(笑)。でも、最初は僕も、燻製に対しては専用器具が必要だったりとハードルが高いイメージがあってなかなか手を出せなかった。そんなとき、たまたま雑誌で『中華鍋1つでできる!』という特集を見て、ハマってしまったのです」
燻製の魅力は「奥の深さ」だと語る。「10分程度でできる簡単なものから、ベーコンやスモークサーモンなど、数時間かかる大物まで幅広い。スモークチップの組み合わせによっても味わいが異なってくるし、追求し出せば飽きることがありません」
では、早速初心者のための燻製教室を始めよう。基本的に必要な器具は中華鍋と網、蓋、ガスコンロ、アルミホイルだけ。ポイントを押さえれば、誰でも簡単においしい燻製を作ることができる。
まず重要なのは、「水分対策」。食材の表面に水分が残っていると、煙の中の酢酸を吸着して仕上がりが酸っぱくなってしまう。事前に表面の水分をしっかりと乾燥させることで解決する。冷蔵庫から出したばかりのものを燻製すると結露してしまうので、これも注意が必要。必ず室温に戻すこと。燻製中も、蓋や食材についた水滴を拭くことを忘れずに。
次は煙の量。「燻煙の成分がバランスよく食材に絡んで初めておいしく仕上がります。なので、煙のかけすぎはNGです」。チップの量の目安は、燻煙時間10分でひと握り(約10グラム)。あらかじめ火が通っている食材の場合、10分程度で十分香りはつく。
チップと食材の距離が近すぎてもいがらっぽくなってしまう。そのため、器具を用意するときは、鍋は深さがあり、蓋はなるべく高さがあるものを。中の様子が見えにくくなってしまうのが難点ではあるが、ボウルを蓋代わりにしてもよい。
気がかりなのは煙対策。現在、燻製道士さんは庭にカセットコンロを出して燻製を行っているが、燻製を始めた当初はマンション住まいだった。「ある程度排気能力があればキッチンでやることも可能です。ただ、うちの場合は台所のダクトが古かったので、ベランダでやっていました」。昼間は洗濯物があるので基本的にやらず、風向きを確認しながら夜に行っていたという。
器具や場所のポイントを押さえたら、いよいよ食材選びだ。今回用意した食材は、プロセスチーズ、カマンベールチーズ、タラコ、チーズを挟んだはんぺんの4種類。「火を通す必要がなく、塩気がしっかりとあるものが初心者向けの食材です。反対に野菜や果物など、水分の多いものは燻製にはあまり向いていません」。チップはサクラやリンゴなどさまざまな種類があるが、今回はマイルドでくせのないヒッコリー(クルミ科の広葉樹)をチョイスした。チップはホームセンターなどで手軽に手に入る。
ベーコンなどの大物になると事前に味を付けるための液に浸しておかなければならないが、今回の食材は特に大がかりな下ごしらえは必要なく(はんぺんには塩をふっておく)、チップを仕込んだ網の上にそのまま乗せるだけ。途中、蓋や食材の水分を拭き取り、約10分。飴色に輝く手作り燻製のできあがりだ。
「1個100円程度のチーズやはんぺんでも、スモークの香りをまとうことで一気にごちそうおつまみになります。しょうゆなどの調味料を燻製したりと、アイデア次第でいくらでも広がります。パスタなど、燻製を使ったアレンジメニューを考えるのも楽しいですよ」
ずらりと手作り燻製を並べて、ウイスキーやハイボールでカンパイ。ああ、酒が止まらない…。至福の休日、間違いなしだ。
<手順1> 中華鍋にアルミホイルを敷き、チップをひとつかみのせる
★ポイント=チップの量は多すぎるといがらっぽくなってしまうので注意! 目安は燻製時間10分につきひとつかみ。熱を通す必要のない素材は10分程度燻製するだけで十分香りがつく
<手順2> 網を乗せる
★ポイント=チップと網の距離が近いといがらっぽくなる。なるべく高さが出るようなサイズのものを選ぶ
<手順3> 食材を並べる
★ポイント1=チーズの場合は、熱で溶けて網から落ちてしまうため、クッキングシートを敷いておく。カマンベールチーズはアルミホイルでトレーを作ってその上に乗せる
★ポイント2=複数の食材を同時に燻製してもいいが、匂いが混ざるのを防ぐため魚と肉など匂いの強いもの同士はNG
★ポイント3=タラコは最初から入れると火が通りすぎてしまうため、煙が出てから入れる
<手順4> 蓋をして火を付ける。煙が出るまでは強火に
<手順5> 煙が出始めたらごく弱火に。ここからキッチンタイマーで10分間計る
★ポイント=屋外やベランダで燻製する場合、火が通りにくい場合があるので時間はあくまで目安。ただし燻製時間が長すぎるといがらっぽくなってしまうので注意
<手順6> しばらく燻製すると、素材から水分が出てくるのでキッチンペーパーなどで拭く
★ポイント=水分をそのままにしておくと煙の中の酢酸を取り込んで酸っぱくなってしまう
<手順7> 蓋にも水分がつくので拭く
★ポイント=かなり熱くなっているので注意!