ニュースカテゴリ:EX CONTENTSトレンド
懐かしい駅の雰囲気と山形の味 「フクモリ マーチエキュート神田万世橋店」
更新
ランチのお魚定食(1000円)。銀だらの醤油漬け焼き、アスパラ菜とオカヒジキのお浸し。ご飯はもちろん山形産米。体に優しいメニューだ
1943(昭和18)年までJR中央線の神田~御茶ノ水駅間に「万世橋駅」があったのをご存じだろうか。万世橋駅舎の一部として12(明治45)年に完成した赤レンガ造りのアーチが美しい万世橋高架橋が今年9月下旬、当時の雰囲気を残しながら新たな商業施設「マーチエキュート神田万世橋」に生まれ変わった。かつて駅だった歴史的建造物の中に飲食や物販などの11店舗が並ぶ。その一角に、山形産食材のヘルシーメニューが売り物のカフェ兼定食屋「フクモリ」がある。
「フクモリ」とは福を盛るという意味。「フクモリ」広報の吉澤藤佳さん(37)によると、山形はお米がおいしいので、「米を盛る」からヒントを得て名付けたという。
メニューは、山形県内にある天童温泉「滝の湯」(天童市)、湯野浜温泉「亀や」(鶴岡市)、かみのやま温泉「葉山館」(上山市)の3旅館の和食のノウハウを取り入れたカフェ定食が中心だ。野菜は、旬のものを「滝の湯」の自家菜園や地元の青果業者から取り寄せ、山形牛や三元豚など県産の肉を使用するなど、可能な限り山形産にこだわる。
お昼のメニューは3種類(いずれも1000円)のみ。肉か魚のメーン料理を選び、それに2種類のお浸しと漬け物、山形産米「つやひめ」のご飯とみそ汁がついた定食2種と、山形を代表するつけ麺「だしざる中華」だ。ティータイムは、旬の果物を使ったシャーベットやだだ茶豆のロールケーキなどが食べられる。
「フクモリ マーチエキュート神田万世橋店」は、東京都千代田区東神田にある本店「フクモリ馬喰町店」に続く2店舗目だ。フクモリを運営する合同会社「ハイタス」の小松裕行代表社員(43)が、アディダス・ジャパンでサッカー日本代表やW杯の広告を担当するクリエイティブディレクターを務めていたとき、ボランティアで湯野浜温泉の地域活性化とブランドデザインを手がけたことをきっかけに、山形との縁が生まれた。独立して馬喰町に事務所を立ち上げる際、事務所を構えたビルの1階に、縁のあった山形の旅館や関係者に広く声を掛けて、山形のPRにつながるような飲食店を展開したのが始まりという。こうしたコンセプトは「マーチエキュート神田万世橋店」でも受け継がれた。
「フクモリ」は食だけでなく、文化の発信基地としても注目される。東北、店舗のある東東京、震災のあった東日本。いずれも「東」が付くことから「東」をテーマにした雑貨スペース「タナ(棚)フクモリ」を生み出した。米沢に江戸時代から続く土人形「相良人形」や山形のニット作家、栂瀬誠さんの作品などメードイン山形に加え、東東京の老舗手ぬぐい屋やガラス工房などの作品が展示即売されている。吉澤さんは「食材とおいしいにこだわって提供しています。地域に根ざした施設なのでどんどん利用してほしい」と話している。(田中幸美、写真も/SANKEI EXPRESS)