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iPad Air 軽く薄く、驚き乏しく アップル、揺らぐ優位

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iPad Air 軽く薄く、驚き乏しく アップル、揺らぐ優位

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 米アップルは10月22日、タブレット型端末の新機種「iPad Air(アイパッドエア)」を発表した。従来のアイパッドより軽量かつ薄型なのが特徴で、11月1日から日本や欧米で発売する。小型版の「アイパッドミニ」の新モデルも発表した。ただ、軽量・薄型化で使い勝手に磨きをかけたものの、機能面での目新しさは乏しい。低価格で攻勢をかけるライバル勢の追撃は激しく、タブレット市場でのアップルの優位も揺らぎかねない。

 性能向上で対抗

 「アイパッドのような驚くべき製品はアップルにしかつくれない。他社は追いつけない」

 22日に米サンフランシスコで開かれた発表会で、アップルのCEO(最高経営責任者)、ティム・クック氏(52)は、こう強調した。

 アイパッドエアは、重量が約3割軽い約450グラム、厚さも約2割薄い7.5ミリとし、持ち運びや操作時の負担を軽減した。従来と同じ9.7インチの液晶画面も高精細化したほか、最新の基本ソフト(OS)「iOS7」を採用し、情報処理能力は最大2倍になった。日本での販売価格は5万1800円から。

 新型のアイパッドミニは、解像度を4倍に高めた7.9インチ画面を採用し、初代よりやや重くなった。価格は4万1900円から。初代ミニも値下げして販売を続ける。

 ライバルの米グーグルのOS「アンドロイド」を搭載する韓国サムスン電子などのタブレット端末がシェアを拡大する中、首位のアップルは低価格路線の同じ土俵には乗らず、性能向上で対抗する構えだ。

 「失望」厳しい市場

 ただ、市場の評価は厳しい。「軽くてデザインも美しい」(アナリスト)と評価する声がある一方、これまで他社をリードしてきた機能面での驚きは乏しく、新製品への期待から上昇していた株価も、22日は売りが目立った。

 米ITサイトのオール・シングス・デジタルは「劇的な刷新を期待したが、手がかりを得られなかった」と、失望を隠さない。英紙フィナンシャル・タイムズも「アップルの優位はもはや当然とはいえない」と、手厳しく論評した。

 タブレット市場では、米アマゾン・コムなどライバルが小型版や低価格製品を相次いで投入している。アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(49)は、「多くの機能や革新性をこの価格に詰め込んだ」と、299ドルからに価格を抑えた最新機種に自信を示す。グーグルも新型端末を同水準の低価格で販売する。電子書籍や音楽などのコンテンツと広告での高収益がグーグルの強みだ。

 米調査会社IDCによると、4~6月期のタブレット出荷台数のシェアでアップルは32%を占めたが、前年同期の60%から半減。2位のサムスン(18%)など追いすがるライバルの足音が迫ってきた。

 アップルは先月(9月)、新興国市場での出遅れを挽回するため、スマートフォン「iPhone」の廉価版「5c」を投入したが、販売低迷が伝えられている。「アップルらしい独創的な製品」(市場関係者)を生み出し、再び輝きを取り戻すことができるのだろうか。(SANKEI EXPRESS

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