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ロシア甘くない…グリーンピースに大統領鉄槌 石油掘削基地侵入で30人拘束

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ロシア甘くない…グリーンピースに大統領鉄槌 石油掘削基地侵入で30人拘束

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 国際環境保護団体グリーンピースの活動家約30人が、ロシア北西部バレンツ海で建設中の海上石油掘削基地に侵入したとしてロシアの治安当局に拘束されたが、この事件について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(60)は「彼らは法律を破った」と明言し、ロシアの国内法に従って厳正に処罰する考えを示した。

 ロシアの治安当局は海賊行為の疑いで調べており、裁判所も拘束された活動家たちに2カ月間の勾留延長を認めた。活動家たちは最高15年の禁錮刑を受ける可能性がある。グリーンピースやシーシェパードといった環境保護などを掲げて過激行動を展開する団体に対し、海賊行為の疑いで厳しく取り締まる初の事例となりそうだ。

 欧米メディアによると、海上石油掘削基地は、ロシア国営エネルギー大手「ガスプロム」が来年の生産開始をめざして建設を進めているが、近くにホッキョクグマやセイウチが生息する3カ所の自然保護区があるため、グリーンピース側は9月18日、開発は自然環境悪化につながると抗議活動を展開。沿岸警備隊の警告を無視して抗議船で近づき、基地によじ登るなど過激な抗議行動に出た。

 武装部隊を派遣

 こうした一部の環境保護団体の過激な抗議行動に放水などによる警告で対応する国も多いが、ロシアの対応は甘くなかった。まず18日、現場に武装部隊を送り込み、基地によじ登った2人を拘束。19日には武装部隊が抗議船に突入し、全員を監禁・拘束。抗議船も押収した。

 現場にいたグリーンピースの活動家はフランス通信(AFP)に「マシンガンで武装した集団がヘリコプターからロープをつたって抗議船に乗り込んだ」と証言している。

 一連の対応について、ロシア北部サレハルドで(9月)25日開かれた国際北極フォーラムでプーチン大統領は「彼らが海賊でないのは、無論、明白である」と述べたうえで、「彼らは国際法の規範を破り、海上石油掘削基地を危険な状況にするほど近づいた」と武装部隊の出動を正当化。

 さらに「今後、(海上石油掘削基地が)脅かされることはないだろう」と指摘してグリーンピース側に二度と過激な行動をとらないよう警告した。

 グリーンピース・インターナショナルの上級幹部クミ・ナイドゥー氏は「大統領がわれわれが海賊ではないと認めたことを歓迎する」との声明を発表し、「今回の行動は純粋に北極の環境保護が目的だ」と強調した。

 「国籍問わず起訴」

 しかし、ロシアは活動家たちを簡単に許すつもりはないようだ。約30人の活動家は米、豪、ブラジル、仏、伊、加など18カ国から集まっており、身柄引き渡しなどが外交問題にもなりかねないが、ロシア捜査委員会のウラジーミル・マーキン報道官はAFPに「今回の抗議活動の参加者は全員、国籍を問わず起訴する」ときっぱり。大統領も壊れやすい北極の自然環境は慎重に扱われるべきだが、グリーンピースの抗議活動は単なるパフォーマンスだと一蹴した。

 プーチン大統領はそもそも環境保護団体の訴えを気にしていないようにも思える。英紙デーリー・メールなどによると、2010年8月、大統領は極東カムチャツカ半島を視察中、生態調査サンプルの採取との名目で、ゴムボートでのクジラ撃ちに挑戦。そのとき彼はこう言った。

 「本当に興奮した。3回失敗したが、4回目で命中した」(SANKEI EXPRESS

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