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豪雨による浸水や土砂災害に被災した場合に 知っておきたい税制優遇制度

高橋成壽
高橋成壽

■雑損控除の被害額の計算

 建物の現在価値については、税法上の耐用年数の1.5倍を損害額算定用の耐用年数として考えます。鉄筋コンクリート造りは耐用年数70年。木造は33年、鉄骨は鉄骨の厚さにより、28年、40年、51年となります。

 自動車の現在価値については普通乗用車の耐用年数が9年、軽自動車は6年となります。

 建物の被害割合は、損壊区分では全壊100%、半壊50%、一部損5%となります。浸水区分では、床上浸水の程度により、被害割合が変わりますが、平屋の場合で25~65%、2階建て以上の場合で20%~55%となります。床下浸水は15%となっています。

 価格が不明な場合は、都道府県ごとに構造別の工事費用が定められています。また、家財の評価額についても、世帯主年齢と家族構成により家財の目安額が定められています。

■災害減免法の所得税の軽減・免除

 災害減免法による税金の軽減・免除の対象となる資産は、住宅または家財の損失額が被害を受けた財産の1/2以上であることが条件となります。従って、全壊、大規模半壊などかなり大規模な被害を受けた場合に限られます。

 所得税の軽減額は、所得の多寡により異なります。

(1)その年の所得額:500万円以下 所得税全額免除

(2)その年の所得額:500万円超750万円以下 所得税1/2軽減

(3)その年の所得額:750万円超1000万円以下 所得税1/4軽減

 所得が1000万円を超えると制度の対象から外れますので注意が必要です。

■住宅ローン控除の特例

 住宅ローン控除の対象となる住宅に住めなくなった場合でも、引き続き住宅ローン控除の適用が可能です。ただし、住宅を取得し直した場合などは、旧住宅は住宅ローン控除の適用から外れることがあります。

 ただし、住宅ローン控除の重複適用ができる場合もあります。被災してから一定期間内に住宅を取得した場合には、旧宅の住宅ローン控除と新宅の住宅ローン控除をそれぞれ適用させることができるとされています。

 しかし、住宅ローンの2重払いは家計への負担が大きくなりますので、実際に利用できるかどうか家計次第といえます。重複適用の場合の添付書面が罹災証明書です。

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