(3)社会全体の子育てに対する不安醸成
今回の廃止案に触れて、政府与党は本気で少子化を克服する気がないのだと感じました。理由は簡単です。子育て予算の付け替えだからです。
昨年の消費税増税のタイミングで幼児教育の無償化が導入されました。結果として数千億円規模の予算がついていますが、子どもの教育に関していえば文部科学省の予算は足りていません。
例えば健康保険制度では、働く世代の納付する保険料から高齢者医療へ資金が充当されています。協会けんぽの令和元年度決算資料によると、協会けんぽの支出10兆円のうち、約35%に相当する3.5兆円が高齢者医療への拠出金となっています。
特例給付の廃止のバーターである待機児童対策は5年で1600億円の財源と報道されています。高齢者医療への拠出金を抑えれば、楽に捻出できる金額です。
まずは高齢者には受益者負担を若年層と平準化することが求められます。その結果として高齢者に回っているお金が若年層に活用されることで、安心して子育てのできる社会を構築できるのではないでしょうか。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら