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家計も緊急事態 住宅ローン、学費、奨学金返還のやりくり術

高橋成壽
高橋成壽

<返済方法変更メニューの内容>

(1)返済特例

 住宅ローンの返済期間を延長することで、毎月の返済額を減らす方法です。一般的には住宅ローンの返済期間は最長で35年ですが、さらにプラス15年とすることができます。つまり、50年返済の住宅ローンと考えるといいでしょう。ただし、完済時の年齢は80歳までとなりますから、30歳の人が住宅ローンを借りた直後に、今回のケースに該当すれば、80歳まで払い続ける返済スケジュールに変更できるということです。

 なお、借入金額3,000万円(元利均等返済、毎月均等払い、金利1.0%)の場合、35年返済では毎月84,685円の支払いが、50年返済の場合63,557円になります。毎月2万円強減額となり、返済額としては25%程度減少しています。

(2)中ゆとり

 一定期間に限り返済額を減らす方法です。一定期間終了後に、減額した分の返済額を従来の住宅ローン返済額に上乗せして支払いを継続する方法です。

 例えば、子どもが大学生の場合あと数年で学費の納付が完了する場合などに有効であると考えられます。あるいは、子どもが高校生、大学生になりアルバイトができるようになれば、家にお金を入れられる。そのようなケースでの一時的な対策としても利用が考えられるでしょう。

(3)ボーナス返済の見直し

 ボーナス返済月の変更、毎月払いとボーナス払いの返済額の内訳変更、ボーナス返済のとりやめなどがあります。

 ただ、ボーナス返済の見直しについては、そもそも返済余力があればボーナス払いを選択するケースは少ないと思います。ボーナス返済の見直しだけでなく、(1)返済特例と(2)中ゆとりを同時に活用して、ボーナス返済分を一時的に先送りしたり、ボーナス返済分を毎月返済に加える代わりに、返済期間を延長することで、毎月の返済額を増やすことなく、住宅ローンを返すことができるようになるでしょう。

 機構以外の銀行、信金・信組などで住宅ローンを借りている人は、機構の例に準じた対応が個別対応で実施できる可能性があります。返済に不安を感じたら、金融機関に相談してみましょう。

 返済条件の変更に伴うリスクとしては、優遇金利が消滅したり、返済総額が増えることが考えられますが、家を失うリスクの方が大きいはずですので、今をいかに耐えるかを重視しましょう。住宅ローンの優遇金利がなくなってしまっても、改めてコロナ禍が過ぎ去った後に住宅ローンを借り換えるという方法もあります。

 学費の支払い

 新型コロナウイルス感染症により家計が急変し、お子さんの学費や教育関連支出が困難になった場合、奨学金を利用するという方法があります。

 奨学金というと、事前に準備しておくものと思われるかもしれませんが、日本学生支援機構(以下、JASSO)では家計が急変した場合の奨学金を案内しています。今回の奨学金は給付型と呼ばれる仕組みで、従来の貸与型とは異なります。返す前提の借金ではなく、もらうタイプの奨学金です。

<利用条件>

 以下に該当することが必要です。

(1)生計維持者が死亡

(2)生計維持者の自己または病気により半年以上の就労が困難

(3)生計維持者が失職(自発的な失業を除く)

(4)被災による生計維持者の生死不明、行方不明、就労困難など

 どの事由による利用にせよ、証明書が必要になります。いわゆるコロナ離婚による収入減少などは対象になりませんのでご注意ください。今回は(3)のケースでの申請が大半となるでしょう。

 子どもの教育を新型コロナウイルス感染症の影響で制限しないためにも、まずは条件に当てはまるかどうか確認し、該当する場合はJASSOに申請しましょう。

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