一方で、そんな家庭でも気軽にハイクオリティな映像を鑑賞できる状況は映画館の経営にも影響していて、当たり前の映画上映であればホームシアターでいいやと生活者から言われかねない環境があります。スマホ世代の中にはドラマも映画もスマホで観られれば十分という人も多いかもしれません。ましてネットフリックスやAmazonプライム・ビデオなどストリーミングサービスも益々充実してきていて、いつでもどこでも膨大な作品リストから作品を観られてしまう時代です。
それでは、わざわざ映画館にまで来てもらって観てもらうべきものとは何なのか。観に行くべきものは何なのか。
その答えのひとつがIMAXなのです。
続々導入される高付加価値型スクリーン
東京の方はすでにご存知かもしれませんが、2019年7月池袋に都内最大級のシネマコンプレックス「グランドシネマサンシャイン」がオープンし、国内最大サイズのIMAXスクリーンも話題となっています。
1970年、大阪で開催された日本万国博覧会で初上映されて以来、日本でも長年多くのスクリーンが運営されてきたIMAXですが、今や全国各地に続々とIMAXシアターがオープン。IMAXはカナダのIMAX社が開発した動画フィルムの規格で、通常はタテに走らせる70mmフィルムを横に使うことで1コマのサイズを大きくとり通常の35mmフィルムの約8倍という情報量、つまりスクリーンをかなり大きくしても映像が精細で明るい画面を実現しているのです。
上映システムもいくつかあり、池袋で導入されている『IMAXレーザー/GTテクノロジー』ではIMAXの高品質画像は勿論のこと、巨大スクリーンに4Kツインレーザープロジェクターによる鮮明な映像表現や、12chサウンドシステムの臨場感で観る人を映画の世界へ一気に引き込みます。
その他IMAX以外では、ドルビーラボラトリーズ社が開発した音響表現に強みのある『ドルビーシアター』も博多、埼玉、東京丸の内とオープン。モーションシートによる振動や動きが映画と連動するCJ 4DPLEX社『4DX』は全国多くのスクリーンがすでに稼働しています。さらに、ラスベガスではソニーが独自規格のハイスペックシアター『ソニーデジタルシネマ (Sony Digital Cinema)』を今春オープンさせたとのことで、将来は日本にも導入されるかもしれません。