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「IMAX」 身近で特別な映像体験のブランディングとは?

秋月涼佑
秋月涼佑

 どんな商売にも小さな役得はあるかと思いますが、広告マンにとっての役得の一つがテレビCMの撮影や編集に立ち会えることです。ご存知の通り撮影であれば人気タレントさんと丸一日身近で一緒に仕事をさせてもらえます。それに比べると編集作業というのは、窓もないスタジオにこもりっきりで誠にパッとしない風情なのですが、これが意外と醍醐味があります。そう、編集スタジオで見るCMの映像や音声は、どんな地味な日用品のコマーシャルであっても実に美しいのです。

 大きな予算を使って制作するテレビCMです、もちろん一流映画監督をはじめ最高のスタッフが集められますし、機材も最高プロスペックです。仕上げの段階で、スタジオにある「民製テレビ」(一般家庭向け製品)で見え方チェックをしますが、残念ながらその段階で大幅に良さが失われてしまいます。まして調整もされていない一般家庭のお茶の間テレビではなかなかスタジオで感じられる絶対的な映像美や音の迫力は味わえないというものです。

 「違いがわかる男」という歴史的広告キャンペーン(ネスカフェ ゴールドブレンド)もありましたが、映像や音のクオリティに対する感受性は人様々。無頓着な人にとっては猫に小判かもしれないのですが、「分かる人」や「気になる人」にとってこれほどに価値の差が出るものも、世の中そうもないというのが実感です。

 映画館で観てもらうべきもの

 もちろん4K放送も始まり大画面テレビやサウンドバーなども比較的手に入りやすい今、家庭でもかなり高品質な映像・音響を体感できるようになりました。でも人間というのは本当に欲深い生き物ですよね。良いものを観ればもっと良いものとなりますし、むしろ欲望が覚醒してしまう部分もあります。

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