「手に職」には過大評価がある 高卒と専門卒「年収」はどちらが高いのか
配信元:PRESIDENT Online 更新ところで、ここで広く教育事情を見渡せば、日本にはすでに40年以上の歴史を持つ職業教育機関「専門学校(専修学校専門課程)」があることに気づく。現場のニーズに合わせた教育を強みとし、なにより一部高校生たちから、理想の進学先として熱いまなざしが向けられている。高校教員の話によると、「就職するなら、大学に進学するより、『手に職』をつけることができる専門学校のほうが有利なのではないか」という生徒が少なくないというのだ。
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さて、連載2回目である今回は、日本における職業教育の先駆けともいえる「専門学校」を取り上げ、卒業生の働き方を参照しながら、日本社会における職業教育の位置づけを考えることにしたい。「手に職」をつけることは、どれほどの経済的メリットをもたらすのか。それ以外の効果はどうか。
一部報道によれば、「専門職大学」への移行を目指して準備を始めた専門学校もあるという。数年後に発足する新たな機関の位置づけを占う意味も含め、調査データからみえてきた現状を紹介することにしよう。
2つに分けられる「手に職」ルート
文部科学省が実施する「学校基本調査」では、専門学校卒業生全体の数とは別に、関係分野に就職した者の数も調べられている。公表データから卒業生全体に占めるその比率を算出すると、男子で71.3%、女子が80.0%(平成27年度)。専門学校=職業訓練校としてよく機能していることがうかがえる数値だが、ここでリクルートワークス研究所の調査データを用いて専門学校卒業生が従事する職業をみると、内実は図表1のようなものだという結果が得られる。