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正念場の連合 どうなるベア 求心力を左右

ニュースカテゴリ:暮らしの仕事・キャリア

正念場の連合 どうなるベア 求心力を左右

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 春闘で5年ぶりにベースアップ(ベア)を要求した日本労働組合総連合会(連合)が正念場を迎えている。日本最大の労組のナショナルセンターではあるが組合員数は伸び悩み、支持政党の民主党は下野以来、党勢は低迷したままだ。働く人たちの待遇を改善し、春闘で存在感を示すことができなければ、連合の求心力低下は避けられない。

 7日夜に東京・日比谷公会堂で開かれた連合の集会。約2000人の組合員を前に壇上に立った古賀伸明会長は、言葉の端々に強い危機感をにじませた。

 「『賃上げの環境は整いつつある』との報道もさかんに行われているが、経営側は、あくまで支払い能力論や自社の短期利益追求にこだわった考えを示すにとどまっている。大変難しい交渉を強いられている…」

 確かに賃上げムードは高まりつつある。連合の集計によると、今春闘でベアを要求している傘下組織は3日現在で2985組合で、前年同期の1217組合から約2・5倍に急増。この動きに呼応し、経団連は6年ぶりにベア容認姿勢を示している。

 電機大手は8日、2000円のベアで決着する見通しになった。組合側の要求の半分の水準だ。

 ベアは人件費全体を押し上げるため、経営側には「年金や保険なども上がり負担は大きい」(日本自動車工業会の川口均労務委員長)との慎重論も根強い。仮に大手が賃上げを打ち出したとしても、業績回復が鈍い中小企業が追随するとはかぎらない。

 そもそも、連合がベア要求に踏み切った背景には、安倍晋三首相が経営側に賃上げを求めるという「異例の展開」(古賀氏)があった。政府主導で賃上げが進めば、中央労働団体としての連合の存在意義が揺らぎかねない。

 ピーク時の平成6年に782万3000人だった連合の組合員数は、昨年6月現在で670万6000人まで減少した。春闘をリードできなければ「32年までに1000万人」という目標はさらに遠のくことになる。(松本学)

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