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純国産か共同開発か…日本の「ステルス機」計画 消えない対米不信感

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純国産か共同開発か…日本の「ステルス機」計画 消えない対米不信感

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 ■「第6世代」想定は不可欠

 F3を純国産機とするか共同開発機とするかにはさまざまな視点での検討が必要だ。

 航空機産業や安全保障問題に詳しい未来工学研究所の西山淳一研究参与は「航空機開発技術は戦闘機に凝縮されている。日本は先進国の一つであり、この開発力を維持していかなければならない」と語る。F2技術は多くのビジネスを生んだが、F3でもステルスやデータリンク技術が自動車の自動運転技術に応用できるとみられている。

 法外に高いコスト

 一方、高性能戦闘機開発の費用や技術を一国でまかなえる時代ではないとの意見もある。

 ヴァンダービルト大のジェームス・アワー教授は「日米双方に技術的専門知識があり、(戦闘機の)開発コストが法外に高いという事実は将来の共同開発を支持する十分な根拠になる」として、F35をベースにF3を共同開発すべきだと提案した。

 グローバルインサイトの長瀬正人社長は「国産にすれば間違いなく防衛の技術基盤、産業基盤に寄与する」としながらも「純国産が国益にかなうかどうかは別次元の判断が必要になる。例えば今後の脅威に対抗できる装備品ができるかどうかの問題がある。この前提が崩れると、相手に抑止力の隙を突かれ、逆に紛争を誘発することになる」と国産技術の冷徹な評価の必要性を強調する。

 F3が実際に配備されるのは開発を正式決定してから12年後の2028年以降になる。防衛省はF3に順次最新技術を盛り込む方針だが、搭載技術が陳腐化するリスクもないわけではない。F3配備とほぼ同時期の30年代前半に米国が、現状で最新鋭の「第5世代戦闘機」の一歩先を行く「第6世代戦闘機」の初飛行を計画しているからだ。

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