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伸び悩む中古スマホ市場、高額下取りで海外流出促進
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米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新モデルが発売されるたびに繰り返される「実質0円」販売や高額の下取り制度などの影響で、国内の携帯電話の中古端末市場が端末出荷台数の3%前後にとどまっていることが明らかになった。
市場調査会社のMM総研が2日発表した中古端末市場調査によると、平成25年度の中古携帯電話端末市場は141万台、タブレット端末を含めると179万台だった。うちスマホは85万台で前年度比2倍強に伸びた。しかし、中古携帯電話端末は携帯電話全体の出荷台数(3941万台)の3・6%、スマホは2・2%にすぎない規模。中古端末購入者4万5千人を対象に実施した調査では、中古スマホの購入経験者は2・2%にすぎなかった。
中古端末市場が伸び悩んでいるのは、携帯電話大手3社の下取り制度が大きく影響しているためとみられる。NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDI(au)の3社は相次いで「アイフォーン6」「6プラス」の販促手段として最大4万3200円の高額下取りを実施しており、その大半が商社などを通じて海外に転売されている。
同じ端末で、利用者が通信サービス会社を自由に変更できる、いわゆる「SIMフリー端末」が普及すれば中古端末市場を活性化するとみられている。
だが、MM総研の調査では、25年度の出荷台数はわずか30万台にとどまっている。そのほとんどは、NTTドコモが通信サービスの契約を制限する「SIMロック」の解除を推進している、米グーグルの携帯用基本ソフト「アンドロイド」の搭載端末。アップルが販売しているSIMフリー対応のアイフォーンはまだ出荷台数が少ないようで、SIMフリー端末の利用拡大の勢いは鈍い。
MM総研では、今後も中古端末市場は拡大すると予想する一方、成長ペースについては、携帯電話事業者の下取り施策や総務省が検討しているSIMロック解除義務化の内容など変動要因が大きいとしている。