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個人消費の腰折れ懸念後退 コンビニ・百貨店、5月の売上高回復

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個人消費の腰折れ懸念後退 コンビニ・百貨店、5月の売上高回復

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中元コーナーの客に高級ビールを売り込むアサヒビールの小路明善社長=20日午前、東京都中央区の高島屋日本橋店  消費税率の引き上げに伴って、3月に発生した駆け込み需要の反動減の影響が徐々に小さくなっていることが、流通関連の各種統計で鮮明となってきた。20日に日本フランチャイズチェーン協会が発表した5月の全国コンビニエンスストア既存店売上高は前年同月比0.8%減で、4月の2.2%減から減少幅を縮めた。

 内閣府の6月第2週の消費動向でも、家電、食料品などで反動減からの持ち直しが顕著だ。店頭などの現場でも消費者の購買意欲の高さを指摘する声が聞かれ、個人消費の腰折れ懸念は後退している。

 5月のコンビニ売上高は、増税前に急増したたばこの買い置き需要の反動減が響き、マイナスが続いた。しかし、カウンターで提供するコーヒーや「冷やし麺」など夏物商品の販売が好調。たばこ以外の品目では「前年を上回る水準」(大手幹部)まで回復している。

 5月の全国百貨店の売上高も前年同月比4.2%減と2カ月連続で落ち込んだが、4月の12.0%減から減少幅は急速に改善しており、「着実な回復の歩みをみせている」(日本百貨店協会)。

 景気動向に左右されるとされるギフト市場でも、ピークを迎えつつあるお中元商戦では「増税の影響は全く見られない」(高島屋の亀岡恒方・日本橋店長)。中元商戦の主力となるビールでは、キリンが20日に、ギフト用の「一番搾りプレミアム」の中元販売目標を、当初の2倍に上方修正した。アサヒビールも、中元向けは前年比約2割増のペースで推移している。同社の小路明善社長は「商戦の最盛期を迎えてさらに(販売は)加速し、年間のビール消費全体を底支えする」と強気の見通しだ。

 20日に来年入学用モデルのランドセルを発売したイトーヨーカ堂の戸井和久社長は、「前年よりも価格帯を引き上げたが、高いものから先に売れていく状況で、消費者のマインドはすでに改善している」と語る。

 第一生命経済研究所の高橋大輝副主任エコノミストは「現時点では駆け込み需要を超えるような反動減は確認されていないし、持ち直しの動きもみられる」と分析。その上で、「増税の影響も徐々に和らいでいくことから、懸念されていた個人消費の腰折れリスクは小さい」とみている。

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