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カネボウの社風・組織に根差すひずみ噴出 化粧品白斑問題

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カネボウの社風・組織に根差すひずみ噴出 化粧品白斑問題

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 カネボウ化粧品の美白化粧品で白斑(はくはん)症状の被害者が続出した問題では、同社の社風や組織体制に根差すひずみが噴出した。

 同社の夏坂真澄社長は11日の記者会見で、自社の社員について「カネボウというより、各部門の社員という意識が強い」と指摘。長く同一部門にとどまる社員が多いため、「自分の部門しか知らず、自分の部門しか考えない」とも述べ、こうした社風、組織体制が約3年前からあった白斑被害の申し出を社員間で共有できない原因になったとの認識を示した。

 しかし、自らの引責辞任については否定し、来年1月の定期人事異動時に大規模な異動を行い、「部門のカベを破壊する」と強調した。

 親会社である花王の消費者対応情報システム「エコーシステム」を2009年に導入しながら、システムの使い方に関する引き継ぎなどは担当者レベルにとどまり、「このシステムでどう仕事を変えるかの議論はなかった」(夏坂社長)点も、社内での情報共有態勢の不備につながったという。

 夏坂社長が一連の問題を把握したのは今年5月、医療機関から連絡があった時点。ただ、昨年9月にも医師から問題を指摘する電話があり、一昨年末ごろから社内には美容部員の肌が白抜けしたという話が出回っていた。

 これらの問題をトップが把握できず、責任の所在も明確にしないことがカネボウの体質を表しているといえる。

 8月に発表された品質管理部門と消費者向け相談窓口の花王との一本化は、製品の安全基準や顧客対応の強化にはつながるが、多くの使用者に不安をもたらし、ブランドについた傷は消えず、信頼回復には一層の時間を要することになりそうだ。(兼松康)

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