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パナソニック株主総会 「赤字いつまで」厳しい批判続出
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就任後、初の株主総会に臨んだ津賀一宏社長=大阪市中央区の大阪城ホール パナソニックは26日、大阪市中央区の大阪城ホールで株主総会を開いた。同社はデジタル家電の販売不振が響き、2期連続で7000億円超の巨額赤字を計上。昨年6月に就任した津賀一宏社長にとっては初の株主総会で、自動車や住宅関連事業を家電に代わる成長事業に据え、それぞれ2018年に2兆円規模の売上高をめざす計画を強調した。
13年3月期の配当を見送ったこともあり、津賀社長は冒頭で「経営陣一同、責任の重さを痛感している。謹んでおわびする」と陳謝。テレビや半導体事業など赤字5事業を黒字転換し、本業のもうけを示す営業利益を15年度に3500億円以上とする方針を説明し、「一刻も早く赤字事業を止血し、早期に復配する」と決意を語った。
しかし、株主からは「いつまで赤字を垂れ流すつもりなのか」など、厳しい批判が続出。不振が続くプラズマテレビへの投資や、三洋電機買収を社長当時に決めて業績悪化を招いた大坪文雄会長の特別顧問就任に関し、ある株主は「(社内にとどまるのは)訳が分からない」と反発した。
津賀一宏社長は「V字回復」を繰り返したが、復配時期などを明言できなかった。
株主からは業績回復の牽引(けんいん)役として期待される事業にも厳しい目が向けられた。
津賀社長は、テレビ事業依存からの脱却や、自動車関連事業などの成長ビジネスへの取り組みをアピールした。しかし、成長性に賛同する株主の姿はほとんどなく、業界でシェア1位を誇る航空機の娯楽・通信システム事業についても「他社に追い越される」(男性株主)と否定的な意見が目立った。
株主の不安が払拭されない背景には、業績改善の確実な将来像や覚悟が見えにくいことにある。市場からは「成長戦略を訴える割に中途半端な覚悟しか見えない」(証券アナリスト)との声が聞かれた。
「業績改善のために、不退転の覚悟で臨む」。津賀社長は総会で断言したが、株主の不満は大きく早期に結果を出すことが求められている。