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環境配慮ゲーム機にエコラベル バンダイナムコゲームス
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バンダイナムコゲームスが取り組むエコアミューズメントの認定基準の表 バンダイナムコホールディングス傘下のバンダイナムコゲームスは、環境に配慮した業務用ゲーム機にエコラベルを表示する取り組みを昨年12月から開始した。
業界初の取り組みで、同社が策定した環境基準をクリアしたゲーム機を「エコアミューズメント」と認定し、一目で分かるようラベルを表示、業界の環境対応をアピールする。子供たちの環境問題への関心を高める狙いもある。対象ゲーム機は大幅な省エネ化も図れるため電気料金値上げで経営が悪化するアミューズメント施設からの期待も高まっている。
認定には、国内向け業務用ゲーム機を対象に策定した「環境配慮設計ガイドライン」の基準達成が必須条件となる。具体的な基準内容は(1)安全素材を利用した化学物質管理(安全素材の利用)(2)消費電力削減などの省エネルギー(3)必要以上の梱包(こんぽう)、包装をしない省資源(4)リサイクルしやすい設計-の4つ。(1)の基準である各国の環境規制に対応した安全な素材を使ったうえで、残り3項目のうち1つを満たせば認定される。
取り組みに動き始めたのは約2年前。消費者から、子供が扱うゲーム機や玩具などの環境対応に関する問い合わせが増えたことがきっかけだった。「家電や自動車業界などに比べ、販売商品が少ないゲーム業界は環境対応が遅れ、消費者からの認知度も低かった」と指摘するのは品質保証部品質保証課の平秀之チーフ。コンセプトに掲げたのがアミューズメント施設での「環境の見える化」だった。
家電業界など他業界の環境対応を参考に、認定基準項目を練り上げ、約1年かけて完成させた。エコラベルのデザインは、同社の人気ゲーム「太鼓の達人」のキャラクター「どんちゃん」をモチーフに緑と白を基調にしたデザインに仕上げ、バンダイナムコらしさを追求。認知されやすいよう、ラベルは硬貨投入口に表示することにした。
最初の認定製品は、親子で触れる機会の多いキッズ向けゲーム「新幹線はどーこだ?」に決めた。本体は新幹線車両「N700系のぞみ」がデザインされた。新幹線が、エコを連想させる乗り物として理想的な題材だった。
同ゲームは、乗り物が集まっているゲーム画面の中からお題の乗り物を探してタッチして答える内容で、画面には液晶、照明には発光ダイオード(LED)など消費電力の少ないものを使用。各部品は素材名を刻印、リサイクルを考えて部品は取り外しやすい設計にすることで、4基準のうち3つをクリアした。
しかし、当初は開発や製造現場から「作業が増える」「開発時間やコストがかかる」などと取り組みへの不満が続出した。「ゲーム業界では『おもしろさ』『楽しさ』が優先され、環境は二の次という風潮があったから」と平チーフは振り返る。「環境への取り組みが商品の安全性へ直結し、消費者の信頼をつかむことができる」との理念を各部署に説明に回り、地道に理解を広げていった。
同社は今後発売するゲーム機はすべてエコアミューズメント認定製品にする方針だ。ただ「液晶化やLED化などの省エネ化はもはや当たり前で、さらなるエコ化への技術革新が見当たらない」(平チーフ)などの課題も横たわっており、メーカーの知恵と工夫が求められる。(西村利也)