2017年度のふるさと納税の寄付額は、高額な返礼品の見直しへの対応をめぐって明暗が分かれた。総務省の自粛要請を守らなかった一部の自治体の伸びが目立つ一方、要請に応じた団体は寄付が集まりにくくなり「正直者がばかを見る」との不満も漏れる。過熱した獲得競争の収束に向け、制度は正念場を迎えている。
憤る自治体関係者
総務省はふるさと納税の返礼品に関し、調達額は寄付額の30%以下とする目安を示すなど、自治体に改善を求めてきた。当初は反発していた自治体の多くは見直しにかじを切ったが、協力しない団体も一部に残る。
大阪府泉佐野市は、ビール、肉、コメ、宿泊券など「まるで通販」とやゆされるほど返礼品を充実させ、17年度の寄付額が全国トップの135億円に急増。調達額は平均で4割程度となり国の目安を上回っているが、担当者は「財政が厳しい中で“外貨”を獲得する手段。ルールを守った自治体には心苦しいが、やめたら寄付が減ってしまう」と釈明する。
17年度の寄付額では、家電を贈り続けた佐賀県みやき町が前年度の5倍に迫る約72億円で全国4位に浮上。商品券が人気の静岡県小山町は10億円近く増やして約27億円を集めた。