【経済インサイド】ハチの輸入拡大の背景 “泣きっ面にハチ”な国内養蜂業者の悲運 (3/3ページ)

シロツメクサで吸蜜するセイヨウオオマルハナバチ=埼玉県北本市(埼玉県自然学習センター提供)
シロツメクサで吸蜜するセイヨウオオマルハナバチ=埼玉県北本市(埼玉県自然学習センター提供)【拡大】

  • 栃木県足利市の雑貨・カフェ店「プラザハマダ」は、自社ビルの屋上で養蜂に取り組んでいる

 在来種のクロマルハナバチの輸入が増えたことで、政府はセイヨウオオマルハナバチから在来種への切り替えを促している。

 だが、以前から外来ハチを利用していた人は環境省の許可を得れば使えるため、使い慣れた外来から在来へと転換する動きは進んでいない。環境省によると、外来ハチの出荷数量は、特定外来生物への指定前の17年と同水準で推移。代替種として実用化されている在来種のクロマルハナバチの出荷数量は、マルハナバチ全体の3割程度にとどまっているという。

 こうした現状を踏まえ、環境省と農林水産省は昨年、セイヨウオオマルハナバチについて、生態系保全のため将来的に使用の全廃を目指すとする指針をまとめた。外来種から在来種に転換するよう農家への補助や啓発を進め、32年までに外来ハチの利用数を半減することを目指すとした。

 ただ、北海道では在来種であるクロマルハナバチも外来種に当たるため、別の代替種の開発も求めらるなど課題は多い。

 余談だが、マルハナバチは匂いに敏感なため、アルコールや化粧品などの匂いに近寄ってくる習性がある。極端な化粧や二日酔いの状態でハウス内に入らない方が身のためだ。青い服装に好んで近寄っていく傾向もある。飲みかけの缶ジュースにマルハナバチが侵入し、飲もうとした生産者が口を刺されるという事例もあるとのことで、くれぐれも取り扱いには注意してもらいたい。(西村利也)