安倍晋三首相は15日、女性記者へのセクハラ疑惑を週刊誌で報じられた財務省の福田淳一事務次官の更迭は不可避だと判断した。財務省が森友学園への国有地払い下げをめぐる文書改竄(かいざん)問題の対応に追われる中、事務方トップとして指揮を執るのは不適切だとの考えを示した。麻生太郎財務相の同意が得られれば、後任の次官人事に着手する方針だ。
12日発売の週刊新潮は、福田氏が複数の女性記者にセクハラ発言をしていたと報じた。報道を受け、麻生氏は福田氏を口頭で注意したが、処分は必要ないとの認識を示していた。
ただ、週刊新潮は13日にニュースサイトで「胸触っていい?」「手縛っていい?」といった福田氏のセクハラ発言とされる音声データを公開。麻生氏は13日の記者会見で「事実ならアウトだ」と述べていた。
公明党の山口那津男代表は15日の青森市での講演で「音声や映像や文字で恥をさらけ出さないうちに、きちんと正すべきことは正すべきではないか」と福田氏を批判した。自民党幹部も「福田氏の辞任は避けられない」との考えを示した。
福田氏は16日、週刊誌で報じられた女性記者に対するセクハラ疑惑について同日中にコメントを発表する考えを明らかにした。福田氏は12日、麻生太郎財務相に「やりとりは定かではないが、誤解を受けることのないよう気をつけたい」と釈明していた。
福田氏は昭和57年に旧大蔵省に入省。官房長や主計局長などを歴任し、昨年7月に事務次官に就任した。