ドドン、ドドン-。東京・品川のホールで10月に開かれた「ドラム タオ」の演奏会で、和太鼓の音が響き渡った。「素晴らしかった。来て良かった」。ドイツ・ミュンヘンから訪れたベロニカ・リビエレさん(47)は興奮気味に話した。
開演時間が午後8時半と遅めなのが特徴で、企画したJTBコミュニケーションデザインの細野顕宏社長は「訪日客の夜間の楽しみが少ないという声に応えた」と話す。
訪日客には伝統芸能の歌舞伎や、ミュージカルなどの人気も高い。観光庁幹部は「遅い時間帯の開演を増やしてくれれば効果的だ」と語った。
経済協力開発機構(OECD)によると、外国人観光客の娯楽サービスへの支出割合は、日本は1.1%で、米国の10.4%、フランスの7.8%に大きく水をあけられている。
訪日客向け情報誌「タイムアウト東京」の伏谷博之社長は、英ロンドンが地下鉄の24時間運行を始めたことを挙げ「深夜でも昼間と同じように観劇などの行動をしやすくする考え方が基本にある。国際的な都市間競争が激しくなっており、日本ならではのユニークな体験を発掘すべきだ」と指摘した。