大詰めを迎えた日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉は、日本のチーズ関税をめぐり厳しい折衝が続いている。EUが全品目の原則撤廃を要求しているのに対し、日本は一部の市場開放にとどめたい考え。日欧は30日からの開催で調整している岸田文雄外相とマルムストローム欧州委員(通商担当)の閣僚会合で打開を図りたい考えだが、歩み寄ることができるかは不透明だ。
「落としどころが全然見えてこない。今回はまとめ切れないかもしれない」。交渉筋は頭を抱える。19日から始まった首席交渉官会合ではルール分野を中心に進展がみられるものの、EUが「日本におけるコメのような重要度」(自民党幹部)で一歩も引かないチーズの関税をめぐり、暗礁に乗り上げている。
日本は市場開放を環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の水準に抑える構えで、特にフレッシュやソフトなど生産者への影響が大きいナチュラルチーズでは関税を守ろうとしている。ただ、EUは「TPPのようにコメの市場開放が争点になっていない」として、チーズで譲歩を迫っているもようだ。
EUは世界最大のチーズ産地。日本への輸出拡大に執念を燃やすのは、最大のチーズ輸入国であるロシアがウクライナ問題を受け欧州産を禁輸したことで、域内で製品が余っているためだ。日本は2番目の輸入国だがチーズの需要は伸びている。