日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉で、EUが日本のワイン関税を2019年に撤廃するよう求めていることが16日、分かった。EUは豚肉や乳製品などでも市場開放を迫っており、自動車や自動車部品など工業製品の関税撤廃を求める日本との間で妥協点を見いだせるかが焦点だ。日欧は来週から首席交渉官会合を開始し、7月上旬の大枠合意を目指して大詰めの協議に入る。
EUはEPAを契機に、日本でワインの市場拡大を加速したい考え。その際、念頭に置くのが日本とのEPAに基づき19年に関税が撤廃されるチリのワイン。本場・欧州といえど、撤廃の恩恵が大きい低価格帯では競合するため、チリと同時期の撤廃を求めている。
欧州から高品質なワインが流入すれば国内農家の打撃は大きい。長野県ワイン協会の菊池敬理事長は「主力品種が正面からぶつかる。品質管理など日本産の良さで勝負するしかないが激烈な競争になる」と懸念を漏らす。国内ワイン産地の多くは欧州種ブドウで醸造しており、広大な農園を抱える欧州の農家に比べコスト競争力で開きがある。