米連邦制度準備理事会(FRB)が3月15日、利上げを発表した。米経済やトランプ政権との関係について、金融政策や財政政策に詳しい第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストに聞いた。
--利上げを決めたFRBの判断をどうみるか
「今までは利上げで米経済の減速感が強まったが、トランプ政権の誕生でマインドが変わった。曲がりなりにもインフレ率を含め、物価や雇用が引き締まり、ぐーんと加速感が出てきたことで、FRBは利上げペースを速めた。ただ、注目は年内の利上げは3回という予想を維持したことだ」
--利上げをソフトに進める印象を与えた
「年1回の利上げで石橋を叩いて渡っていたころに比べれば、時速60キロ、3倍のスピードになった。だが、金融市場は80キロになると思っていたので、逆にハト派のイメージが強まり、(利上げに慎重な)トランプ政権につけいる隙を与えなかった。米連邦市場委員会(FОМC)内のコンセンサスもうまくとっている」
--FRBのイエレン議長の立場が強まったか
「まだ分からない。来年頭に議長とフィッシャー副議長が再任されない可能性があり予断を許さない。ただ、トランプ氏も次の議長を恣意的に選べば信頼を裏切るので、議長を交代させることには慎重だと思う」