台湾、米中思惑も絡み与野党対立激化 日本にも飛び火「こび売る売国奴」 (1/2ページ)

 台湾独立志向の強い民主進歩党(民進党)の蔡英文政権と、対中融和路線の野党・国民党との攻防が激化している。国民党が政権のイメージダウンを狙って混乱を巻き起こせば、蔡政権は国民党の資金源を厳しく追及する。立法院(国会)の外では街頭活動が頻発、中国の影もちらつく。米中外交の主導権奪還を狙うトランプ次期米政権の思惑も絡み、政治闘争は複雑さを増している。

 日本にも飛び火

 「労働基準法改正は改悪だ」「同性婚の合法化は家族の価値観を崩す」。デモに繰り出した人々が立法院周辺で連呼する。デモで道路は封鎖。蔡政権は昨年12月6日に労基法改正の採決を強行したが、国民党は政府が進めるほぼ全ての法案に反対している。

 前月の11月、政府は2011年3月の東京電力福島第1原発事故後に続く日本産食品輸入規制の緩和を立法院に提案したが、これも野党の“標的”となった。「日本人が食べない食品を台湾人に食わせるのか」「日本にこびを売る売国奴」。虚実ない交ぜの過激な主張で不安をあおり、規制緩和措置は遠のいた。

 国民党は昨年1月の総統選で敗北し、同時実施の立法院選でも第1党の座を失った。下野した後、野党時代の民進党が得意とした街頭戦術のまねを始めた。「蔡総統が無能で混乱を招いている」との世論づくりに注力。政権支持率は低下し、戦術はある程度成功しているようにも見える。これに対し、蔡政権は国民党が一党独裁時代に得た不正資産を徹底追及。日本が1945年に台湾を放棄した際、国民党は中華民国が接収した膨大な資産の一部を党資産とした歴史が背景にある。

「日本食品の危険性を誇張する情報が拡散しているが、多くが大陸発だ」