蔡政権は昨年11月、国民党直属の投資会社を「不正資産」と認定し接収を発表。総資産額は156億台湾元(約571億円)相当とされ、職員の給与遅配も起きるなど、国民党は党存続の危機に直面した。民進党の元幹部は「やり過ぎの面もあるが、(国民党の)独裁政権下で苦しめられた長年の怨念がある」と話す。
トランプ氏も参戦
与野党の攻防が激化する中、国民党は中国に接近。政界事情通は「11月に国民党の洪秀柱主席が訪中した際、中国側と資金支援や人的支援の密約があったようだ」と語る。中台は不可分の領土とする「一つの中国」の原則を堅持する中国は、原則を受け入れない民進党を嫌い、4年後の選挙で国民党復権に期待をつなぐ。総統府筋も「日本食品の危険性を誇張する情報が拡散しているが、多くが大陸発だ」と中国の関与を疑う。
一方、11月の米大統領選で勝利したトランプ氏は12月2日、外交関係のない台湾の蔡氏と異例の電話会談に踏み切り、世界を仰天させた。その後、「一つの中国」原則に縛られることはないと明言し、中国側は猛反発。今月20日の大統領就任後の対中交渉で主導権を握ろうと、蔡政権に接近する構えを見せつつ、早くも中国への牽制(けんせい)を始めている。(台北 共同)